主演:デブ・パテル
インドの田舎で兄と妹と母と貧しく暮らす5歳の少年サルーは、ある時無理を言って兄のしごとについていった。
兄は電車のホームでサルーに待ってるよう伝えるが、寝ぼけていたサルーは間違って回送電車に乗ってしまい…!
実話をもとにした映画。
【ネタバレ】
重い…。
そして「ボヘミアン・ラプソディ」の視聴後みたいに放心状態になる。
1人分の半生をじっくり見たからな…、圧倒されたわ…。
序盤が辛すぎる…。
インドの貧しい生活って私からしたらファンタジーだけど、実際あるんよな、と…。
5歳のサルーは兄と盗んだものを売ったりして小銭を稼いでいた。
屋台に売ってるおいしそうな揚げたお菓子をサルーは欲しがるが当然そんなものを買えるお金はなく、兄に断られる。
その後サルーは回送列車に乗って迷子になり、一人ぼっちになる…。
優しいと思っていた大人が悪い大人だったり、知らない子どもたちといっしょにいたら大人たちに捕まえられそうになったり、たった一人で様々な経験をする…。
そこから孤児院に入れられ、運よくオーストラリアの里親夫婦へ。
この2人がめちゃくちゃいい人たちでよかった!!
見てて安心。
20年後、サルはーは過去のすべてを語らず大学?でインドから来たとして周りになじむ。
ある日、いろんな国から来ている学生同士でホームパーティーをして、サルーが一人台所に行くと、兄と屋台で見た揚げたお菓子が用意されていた。
兄とのやり取りを思い出しながらゆっくりお菓子をかじるシーンはもう…。
もう………。
ほかにもこういう、複雑で、うわあああってなるシーンがいっぱいある。
サルーが自分の故郷の場所を特定した後に、故郷の名前を間違えて覚えていたのがわかったシーンも、何とも言えんかった。
そりゃ教育も何もされていないんだからわからんわな…。
本編が終わり、エンディングに入る前の実話のナレーションにもうわあああってなった。
「25年間行方の分からなかったサルーは、2012年2月12日、故郷に戻った…。彼が空っぽの汽車に乗った夜、兄のグデュはすぐ近くで、別の汽車にはねられて死んだ…。…母のカムラは、息子の帰りを信じて遠くへは引っ越さなかった。息子が戻った時雷に打たれたようで、海のように深い幸せを感じたそうだ…。幼かったサルーは、自分の名前も間違えて覚えていた。本当の名前は…、シェルー。その意味は…。」
…この伏線回収もえぐ過ぎて。
演出も格好良すぎて鳥肌。
その後エンディングに入り、実話のサルーとオーストラリアの里親夫婦の写真が表示されていく。
ビジュアルがそっくりでこれもまたビックリ…。
そして映画化されるまでに実話サルーの生い立ちが有名になっていたのか、インドの故郷にサルーとオーストラリアの里親が降り立つ様子が動画で流される。
里親と実母が抱き合うシーンでまたうわああああああってなった…。
そのあとに出た字幕のテロップ、
「毎年インドで行方不明になる子は8万人以上 世界中のストリート・チルドレンの救済組織は次へ」
と、アドレスのようなものが書かれていた。
数が多すぎてまた辛い…。
サルーのモデルになったサルー・ブライアリーさんはこの映画を見た後にインタビューでこう答えていた。
「29年前に自分の身に起こったことが目の前で再現されるのを見て、最初の5分間は椅子にかじりついたようになって涙がどんどん出て止められなかったんだ。特にサニー・パワールくん(主人公子ども時代)が情報を得ようと走りまわっている姿からは、自分が電車に乗ったときやカルカッタに着いたときにどんな気持ちだったかがどんどんよみがえってきてしまったよ。」
辛い…。
改めて実話なんだと思い知らされる。
今は孤児の支援活動を行っているよう。
映画のサルーを見て思ったけど、サルーって自頭いいんよなぁ…。
やっぱりご本人も自頭いいんだろうな。