映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

約束のネバーランド ~ノーマンからの手紙~

孤児院で暮らしている11歳のエマ、ノーマン、レイ。
孤児院で暮らすみんな里親に引きとられることを夢見ているが、里親などおらず、孤児院を出るということは、人食い鬼のえさとして出荷されるということだった…!!


【ネタバレ】

ジャンプで連載している漫画の小説版。
ノーマンは今夜出荷されるため、その日のお昼の自由時間にみんなより先に脱獄する計画だったが、ノーマンは自分を犠牲にし、自由時間にエマに手紙を書いていた。
みんなが無事に脱獄できるようにするための計画、一緒に脱獄を計画していたレイが今後とるであろう行動…。
手紙を書いている最中、ノーマンは施設での出来事を振り返る。

4章に分かれて、4歳、7歳、9歳、11歳、と短編の物語が描かれている。

1,GFハウス幽霊騒動
2,エマが泣いた日
3,鳥籠の中のNER
4.39人目の女の子からの贈り物

タイトルがもうセンスありすぎて…。
特に3.4に関しては読み終わった後、「そういう意味か!」となる。
読み終わった後に、また別の意味を持つタイトルってすごく好き。

楽しくて読みごたえがあったのは、1だけど、いろいろ考えたのは、3,4。

3話目、9歳のノーマン達には、スーザンという、活発で面倒見のいい11歳の姉がいた。
レイだけは孤児院の正体を知っているため、里親に引き取られる兄妹たちを見送っては、次の日に落ち込んでいた、らしい。
本人はもちろん表に出しているつもりはないけど。
スーザンだけは、ノーマンやエマでも気づかないくらいのレイの気分の落ち込みに気が付く。
レイの落ち込みを見ては、自由時間に無理やり遊びに誘う。
レイは、うっとうしいと思いながらも本当はスーザンの気づかいにとても救われていた。
そんなスーザンが、出荷される日がきた。
レイは自分の感情を押し殺し、これからの生活に心躍らせて孤児院から出ていくスーザンを見送った。
スーザンを見送ってしばらくしてから、何も知らないエマとノーマンをよそに、レイは考える。

「きっと今頃スーザンは”鬼”の餌食になっている。ずっと一緒に暮らしてきた姉はもうこの世にいない。それなのに、自分はいつも通りの会話をし、また日常に戻ろうとしている。
(それで、いいんだ…。)」

レイは、いつか来るエマとノーマンとの脱獄に備え、自分を無理やり納得させる…!!

…切なかったな。
漫画は展開がメインでなかなかキャラクターの心情が描かれていることが少ないので、レイの葛藤が描かれた小説を読めてとてもよかった。
子どものレイが背負ってきた背景は重すぎる…。

そして4話。
孤児院一賢いノーマンがみんなに騙される話。
重くなくとても平和な話で、ノーマンのエマに対する恋心も少しふれられる。
漫画でも、エマ、ノーマン、レイの関係について、強いきずなで結ばれているのはわかっていた。
が、エマを好きなノーマンの気持ちを掘られることはなかったので、気持ちを知れてよかった。

4話では、ハウスに出た謎の女の子をノーマンが突き止める話になっている。
あまりにも必死に探すノーマンに、ノーマンの好きな相手など知る由もないレイが聞いた。

「『ノーマンさ、その”女の子”のこと』
『いや、違うよ。僕は』
『まだ何も言ってねーし』
目に見えて狼狽しているノーマンに、レイはからかうように言ってその場を立ち去った。
『はぁ……もう』
ノーマンは口を押さえた。危うく自分が口走りそうになった言葉を思い、内心冷や汗をかいた。ため息混じりに小さくつぶやく。
『……僕の好きな子は、違うよ』」

…ノーマン可愛すぎる。
ノーマンはレイと並ぶくらい冷静沈着なので、焦っているというだけでも可愛いのに、その焦りの原因がエマに対する恋心だと思うと尚更可愛い。

とても良いノベライズでした。


アシガール 3・4話

戦国時代から現代に戻った唯、思いを寄せてる若君が命を落とす合戦を知る。
それを止めようと再び戦国時代に戻り、若君に近づこうと、夜に忍び込む。



ゆくゆく若君は死ぬ、主人公は現代の人間。
どうやってこの物語が終わるのか気になる。

若君に1番に仕えているのがはんにゃの金田さんでびっくりした。
出番結構あるのに、威厳のあるキャラでなじんでいたから、4話になるまで全然わからなかった。


鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星

禁術に触れ、身体の一部を失ったエドワードと身体を失ったエドの弟アルフォンス。
2人は刑務所から脱獄した男を追うためテーブルシティへ向かうが…!!



鋼の錬金術師」は昔少し読んでいたけど忘れていたので基本的な設定がさっぱり。
オリジナル設定であるが、複雑な設定と展開で、なかなかついていけず…!!
途中、アイリッシュの音楽や雰囲気は良かった。
バトルシーンの、カメラワークが動くところも良かった。

声優が超豪華。

星の王子さま

サン=テグジュペリ

 

 

 

砂漠に墜落した主人公が

 

出会った、王子さまの物語。

 

 

 

可愛い話!!

 

最初の出だしが独特で

 

読む気にさせた。

 

王子さまの発想も面白くて、

 

ほんまに王子さま

 

おるんちゃうかー

 

って思った…。

 

バラとの会話が印象的。

 

 

 

これからも

 

読み続けていきたい作品!!!

 

 

【再読・ネタバレ】

 

サンタさんを信じていた小学生の時に読んだときは、この本は実話だと思っていた。

出だしのプロローグがまず。

 

「レオン・ヴェルトに この本を、こうして一人のおとなにささげたことを、子どものみなさんは許してほしい。何しろ大事なわけがある。この人は、この世で一番の僕の親友なのだ。」

 

作者からピンポイントの誰かに向けられているというのが、ノンフィクションっぽい書きだし。

実際は、「レオン・ヴェルト」に向けて書いたプロローグが本当で、次のページの本編からはファンタジー

だけど本編の序盤も、「僕」の子どもの時の感性の話になっていて、プロローグの「僕」と一緒だと思っていた。

 

「こうして思い出を語るのも、本当はとてもつらい。僕の友達が羊とともに行ってしまってから、もう6年にもなる。こうして僕が今書いているのは、彼を忘れないためなのだ。友達を忘れてしまうのは、悲しいから。」

 

たまに「僕」が読者に語り掛けてくるのも、ノンフィクションと思った理由…。

今思えば小学生の私はあほやったけど、あほやからこそ、「星の王子さま」を存分に楽しんでいたな…。

これをノンフィクションと思えた心は素敵だ。

 

星の王子さまは、地球で飛行機が不時着した「僕」と出会うまで、さまざまな星を旅してきた。

地球に来てはじめの方に会ったのは、砂漠に咲くたくさんのバラたち。

王子さまの星でもきれいなバラが1本咲いていて、大切に育てていたが、地球ではたくさん咲いている。

王子さまはショックを受けて涙する。

 

(ぼくはこの世に1輪だけの、財宝のような花を持ってるつもりでいたけど、本当は、ただのありふれたバラだった。)

 

そんな時にキツネと出会う。

キツネはさみしいのか、王子さまに、「自分をなつかせてくれ。」という。

王子さまはいやいやながら、キツネの言う通り、毎日少しずつ会い、仲良くなっていく。

 

「例えば、きみが夕方の4時に来るなら、ぼくは3時からうれしくなってくる。」

 

そして王子さま出発の日、キツネはさみしくて泣きそうになる。

キツネは王子さまに、もう一度バラたちに会いに行って、再び自分のところに戻ってくるように言う。

王子さまは言われた通り、バラたちのもとへ行く。

 

「あれ、きみたちは、ぼくのバラには全然似てないや。きみたちはまだ、いてもいなくても、おんなじだ。誰も、きみたちをなつかせたことはなかったし、きみたちも、誰もなつかせたことがないんだ。初めて会った時の、キツネみたいだ。」

 

大切なことに気付いた王子は、悪気なく、決まり悪そうなバラたちをディする。

 

「きみたちは美しい。でも外見だけで、中身は空っぽだね。」

 

王子さまの気付きは素晴らしいが、「声に出さんでも…。」とは思った…。

すっきりした王子さまはキツネの元に戻ってきた。

キツネは王子さまとのサヨナラの前に、言う。

 

「じゃあ秘密を教えるよ。とても簡単なことだ。物事はね、心で見なくてはよく見えない。一番大切なことは、目に見えない。」

 

そうして王子さまとキツネは別れた…。

 

ここの一連、何度読んでも、「ふむふむ」となる。

 

就活対策の時に、身だしなみやマナーなど、すごく厳しくチェックされた。

それって大人たちは、「心の目で見ていない」ということなのかな。

うわべだけを見ているから。

身だしなみとかきちんとできてなくてもすっごいポテンシャル持ってる人だっているかもしれないのに。

とは言いつつ、就活の面接に関しては、身だしなみやマナーで、清潔感と雰囲気と協調性はわかるか。

こうして人は年齢の成長とともに心の目で見ることをやめ、大人になっていくんだろうか。

 

まぁ「子ども」として描かれた王子さまも、王さまとの会話見てたら充分大人な気がするけどな。

「これは最も難しいことだ。他人を裁くより、自分を裁く方がずっと難しい。自分をきちんと裁けるなら、そちは真の賢者ということだ。」

「ぼくはどこにいても自分を裁けます。」

 

大人でも自分を裁ける人ってどれくらいなんやろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

有頂天家族

狸の頭領を務めていた故・下鴨総一郎には、

妻と4匹の兄弟がいて…!!

もう本当に本当に面白くて、

読んでる間幸せで、

森見さんありがとうございます、と叫びたい。

例えば、サンタクロースとか妖精とか、

大人になるにつれてファンタジーって

存在しないんだってあきらめていたけど、

森見さんの作品を読むと、

天狗とか偽電気ブランとか、

京都ではファンタジー

存在するんじゃないの?って思えて来る。

それはたぶん、

実際ある場所や行事を使って、

架空の人物や出来事を

足しているからだと思う。

ギリギリラインを攻めてるから、

存在するんじゃないの?と思えて来る。

読んだ後も

こんなに妄想できる物語ってないって思わされる…。

これからも森見登美彦さんの作品を

知っていきたい。

今回の「有頂天家族」は、

森見作品でよく見かける

腐れ大学生が主人公ではなく、

おもしろそうなことに首を突っ込む、

頭の切れる狸が主人公。

映画でも小説でも漫画でもなんでも、

やはり堅物より

アホっぽい主人公の物語の方が面白いな!!

視野が狭く頭ごなしに弟たちを叱ってしまう

長兄の器はまだ小さいけど、

4兄弟の父総一郎は相手の気持ちをくみ

ドーンと余裕に構えていて、

本当に山みたいでかっこいい!!

弟が海星姉ちゃんから放られて走るシーン、

次兄が父の最期の言葉を

思い出したシーン…、

弱っちいキャラが一歩勇気をもって

変わるようなところは

やっぱり鳥肌が止まらん…!!

【再読・ネタバレ】

2回目でもとても面白かった!!

京都で起こる完全ファンタジーだけど、「鳩居堂」や「高島屋前で弾き語りをしている若者」など実際ある店や光景を景色の一部として入れてくるから、一気に現実の京都に戻される。

わくわく感。

後はやっぱり、キャラクターの濃さ。

弁天に惚れていてプライドが高い老いぼれ先生の扱い方が特に好き。

ラストのシーン、現場の混乱を治めたい矢三郎、弁天の浮気現場を作り怒った先生に爆風を起こさせるっていうところ。

キャラクターの性格が極端すぎて本当に面白かった。

基本的にみんな性格が極端すぎて、あほだった。

あほとあほが絡み合うんだから、声出して笑う部分もいっぱいあった。

ハルのふえ

草笛が得意の狸のハルは、山の中でほかの動物たちと演奏会をしていると、捨てられていた人間の赤ちゃんを拾う。
赤ちゃんはパルと名付けられ大事に育てられるが、音楽を学ぶために人間の世界で暮らすことになり…!!


【ネタバレ】

やなせたかしさん原作の子ども向けアニメで、とてもほっこりする映画だった。

子どものパルのことは大切だが人間のもとで育った方がいいと都会へやる狸のハル。
ハルを狸とは知らず、ハルのことを忘れたことはない都会で過ごすパル。

お互いを大事に思っている気持ちがすごく伝わってきて、良かった。

声優が「アンパンマン」の作品引き継がれていた。
ジャムおじさんの声、2020年に亡くなっていたの初めて知った。




呉書 三国志

長沙の大名であった27歳の孫堅は、戦が強く人望もあるため、程普、黄蓋韓当という優秀な部下がつく。
孫堅には、戦に出ると頭に血が上り敵を全員容赦なく殺す癖があった…。


【ネタバレ】

ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズの作者が書いたので、とても読みやすかった。
ひらがなが多くて、比喩があまりなく直接的な表現が多かったからかな。
登場人物同士の掛け合いも面白いところが多かった。

話は、「孫」家の物語。
まずは孫堅
戦が強く人望もあるため、良い部下が増え、どんどん勢力を拡大していく。
孫堅が36歳で戦死し、次を受け継いだのが当時17歳の長男の孫策
孫堅が死んだため孫堅の国は内乱が続き、孫策に残されたのは程普、黄蓋韓当の3武将のみ。
そこから孫堅は、持ち前のカリスマ性と戦の強さで父以上に勢力を広げるが、毒矢を受けて、25歳の若さでこの世を去る。
孫策を継ぐのが、7つ年下の弟、孫権
孫権は戦は強くないが国を治める力が優れており、内政に力を入れた。
良い部下をさらにそろえるなどして、やがて呉の大帝となり、70歳でこの世を去る。
ちなみに呉が滅びたのは、孫権の孫である孫晧の代。
即位するまでは孫策と比べられるほどの人物だったらしいが、即位すると気に食わないものを殺して自分の好きなものだけを置いていたらしい。

ここまでが本編。
最後の一分。

「建国の苦労を知らぬものが、わがままかってをし始めるとき、それが国の終わりになるのである。」

何とも言えない余韻で終わったわ。
3代目孫権は、人々が平和に暮らせるように、という意味も込めて勢力を拡大していたのにな。
それが自分の孫によって滅ぼされるとは…!!

戦いの場面が結構あり、グロく感じるところも多かった。
大切な人を殺されたから相手の一族全て殺す、という価値観が全く分からなかった。
これで人徳がある、というのだから本当にその時代に生まれないでよかった。
唯一孫権には感情移入できた。



ハイジ

主演:エマ・ボルジャー


幼いころに両親を亡くした9歳の女の子ハイジ、育ってもらったおばさんから、山に住むおじいさんのもとに預けられることになった。
山での生活にも慣れるが、ある日、車いすの女の子の話し相手になるようにとフランクフルトに行くことになり…!!



とてもかわいくてほっこりする映画だった。
ハイジが天真爛漫でとてもいい子。
両親が突然いなくなって、育ててくれたおばさんは意地悪なのに、こんな女の子に育つかな。
普通なら斜に構えてオトナを観察してそう。
山でのおじいさんはプライド高くむっつりしているけど、ハイジの方が先に、「ごめんなさい」と言える。
死んだ両親の育て方がすごく良かったんだろうな。

オトナのキャラクターが、いい人か嫌な人か、はっきり分かれていたな。
多分、ロッテンマイヤーも本当は過去に何かコンプレックスがあっての、あの嫌味な態度なんだと思う。

本当は長編として描かれる物語なんだろうな。
序盤の、おじいさんとハイジが山で暮らすところも、もっと長く見ていたかった。
クララとハイジの交流も長く描かれていたら、クララが立つところ、もっと感動したんだろうな。
それでも、とても良い映画でした。



ちょっとそこまで旅してみよう

漫画「すーちゃん」の作者、益田ミリさんの、国内から外国まで幅広旅行エッセイ。




一人でヘルシンキに行くミリさんが本当に楽しそうで、読んでてこっちまで幸せになってくる。
ミリさんは英語が苦手らしいが、積極的に行動し、行きたいところや食べたいものなど、たくさん挑戦している。

「40歳を過ぎ、何かが解決したわけじゃない。ぼんやりとした不安が振り払われることもない。でも、だけど、瞬間の幸せを認められる力が備わった。ヘルシンキの街を気ままに歩いているときの私の『幸せ』は、完璧な形をしていた。私を惑わすものなど、何一つなかった。」

『瞬間の幸せを認められる力が備わった』、って大切だな…。
それができる人が本当に幸せな人なんだと思う。
高い目標を達成することや、人に認めてもらうことを幸せにしていたら、できなかったときとてもしんどい。
もちろん、そういう気持ちが0でもだめだと思うし、それを糧にして成功していくタイプもいると思う。
でも人として、『瞬間の幸せを認められる力』がないと、生きにくい気がする。

ミリさん素敵な女性だな。

犬夜叉完結編 1~12話

奈落を追う犬夜叉一行、そして奈落の分身である神楽のさいごは…!!



【ネタバレ】

犬夜叉完結編。
神楽の最期が悲しい…。
奈落の分身として生まれた神楽だけど、いつか自由の身になるという目標を持っていた。
しかしかなうことはなかった。
奈落の手によって一度解放されるが、そのまま毒を注入され、瀕死の状態になり一人に。
本当に奈落は嫌味な殺し方をする。
その人の望んでいるものを一度手に入れさせ、直後に地獄に落とすということをよくする。

死ぬ直前の神楽の前に現れたのは、自分の意志で神楽の様子を見に来た殺生丸
恋心か別の情か、神楽にとって殺生丸は何か特別な存在であったことは間違いない。
だから消える直前は、笑顔だった…。
奈落は神楽をすべてわかっていたつもりだったかもしれないけど、神楽の気持ちは神楽のもの。
誰にも支配されることはない。
ほんの少しでも幸せを感じて逝ってくれてよかった。

犬夜叉」の中で一番このシーンが好きかも。
超切なくて辛いけど、絵としてもとてもきれい。
琥珀を逃がしたあたりから神楽株めちゃくちゃ上がってたので、応援しまくってたのにな。


単発ギャグへんのキツネ妖怪テスト回も好き。
七宝が主役回は、奈落を追うシリアス回の癒し。
安定のギャグで笑える。
弥勒と珊瑚もかわいかった。