映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

手紙

東野圭吾

兄剛志は、弟の大学の学費のために
強盗殺人を犯してしまう…、
弟直貴の半生。

以前トラウマの本を読んで、
被害者遺族の傷は一生残る、
ということを学んだが、
加害者遺族もまた、
犯人と同じような罪を背負って
生きて行かねばならず、
つらい人生を送る…!!
犯人の剛志は、罪を犯す前から、
「俺は馬鹿だから
直貴は必ず大学へ!!」って
めっちゃプレッシャーかけてるし、
ブタ箱はいってから
手紙の返信の強要もそう、
直貴に子どもができてからも
二人目の子どもを促したり、
基本的に相手の気持ちを無視して
独りよがりなやさしさを持つ
人間やから、
不器用な人間やなぁって思った。
妻の由美子は、
最初は直貴に対してストーカーのような
アピールをするから、
空気読んであきらめろよと思ったが、
周囲から直貴へ向けられる目を
しっかり受け止め、直貴が何といおうと、
自分なりに考えて行動する強さは、
すごかったな。

直貴から剛志への、
「今まで俺や妻や子供は
あんたのせいで苦労をした、
だから絶縁する」という最後の手紙、
読んでて、気分が晴れたはずなのに、
最後に来て、剛志のことを想うと、
ほんまに哀れに思ってきた…。
改めて、命って思いなァ、
と思った小説。