映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

晩パン屋

250年も生きてきた吸血鬼ツバサは、
15年前、飛行機墜落事故にあい、
その時助けたコトブキと二人で、
夜だけ開いているパン屋を経営しながら
暮らしている…!!

【ネタバレ】
木皿泉 物語る夫婦の脚本と小説」という、
木皿泉さんのムック本に収録されていた、
未発表小説、「晩パン屋」。
序盤、反抗期のコトブキの考えてることが
わからないツバサが、

『話を合わせるために、
 コトブキが夢中のゲームを攻略し、
 漫画も読んでみた。
 どれも殺伐としたものだった。
 繰り返し行われる殺戮(しかもナタで!)と、
 何の根拠もないのに
 「オレたちは仲間だ」と繰り返される台詞。
 そういい続けなければ、
 そうでなくなってしまう、
 と恐れるかのように。』

って、軽くONE PIECEをツバサが、
というより作者の木皿さんが
ディスってるように感じて、
笑けるやら悲しいやら
複雑な心境になった…!!
人と生きて行くぬくもりを知ったツバサと、
平凡な日常から抜け出したい
コトブキとの、
価値観の違いによるすれ違いが
むず痒い…!!
コトブキが出て行く直前ツバサにあてた手紙、

「人間のしあわせは、
 毎日の暮らしの中にあると、
 ツバサは思ってるみたいだけど、
 それは、そうかもしれないけど、
 でも人間の一生は短いのです。」

の書き出しがもうなんか、
二人とも言いたいことわかるしな、って、
何とも言えんかった。
結局最後は、音楽家になるため
黙って家を出ようとしたコトブキが、
家の中の異変を感じて戻ると
ツバサのほうがいち早く
コトブキのもとを去ってた、
っていうのが切なすぎる…!!

その後のハッピーエンドが見たい。
もう一生二人は再会することは
なかったんかな…!!

【追記】

タイトルの、「晩パン屋」で
気付いたこと。
晩パン屋、バンパンヤ、バンパイヤ…。