映画・小説の感想棚

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豪商伝 薩摩・指宿の太平次

鹿児島県、
指宿(いぶすき)に貿易商人として
生まれた濱崎太平次、
傾いた山木を立て直すべく、14歳の時、
初めて航海した琉球との貿易に衝撃を受け…!!

な…、長ェ!!
文庫本で読み、字も小さく、
502ページありました…!!
しかし、それ相応の物語が詰まった作品…!!
時代小説というものは初めて読んだけど、
読んでよかった。

【ネタバレ】

序盤は傾いた山木を立て直すのに
奮闘する太平次の姿が描かれる。
10代後から20代前半だったかな。
太平次の大胆で誠実な人柄により、
貿易先の琉球や大阪で
たくさんの知り合いができる。
そしてその人たちの協力と、
太平次の仕事のやり方で見事、
薩摩の豪商になる。

そんな太平次を薩摩藩が、
「薩摩のために働いてくれないか。」と誘い、
大掛かりな抜け荷をやらせて協力させる。
山木にもすごく利益があるので承諾するが、
抜け荷はもともとしてはいけないこと。
それが大掛かりとなると
幕府にばれると太平次の命も危なくなる。
藩とかかわるようになり、
幕府ともかかわっていくことになる…。
お世話になっていた薩摩の人や
取引相手が殺され、ついに自分も、
京都で動き始めた新選組に殺される…。
享年50歳。

後半はなかなかシビアだったな…。

解説に、「この本は『志』を書いたものだ。」
と書かれていた。
命より大切なものを貫いている、
ということらしい。
確かに貫いていたな…。
調所の、または、西郷のためならば、という。
なかなか、抽象的な言葉でいうと、
「男らしい」、人物だった。

山木や藩の動きも面白かったが、
周りの人たちとの関係も好きだったな。
いつも太平次の世話を焼いてくれていた
母の死だったり、
父を探しに密国してきた幼い兄妹が
山木のために働く姿だったり。
物語が長い分、太平次を取り巻く、
仕事以外の人間関係も描写されていたので、
余計、太平次という人物に人間味があった。

太平次の死床には、
初恋で両想いになれたおこまがいた。
おこまは大阪の遊郭の女なので、
太平次からプロポーズされても、
「自分がいたら迷惑をかける。」と断っていた。
太平次は2度お嫁さんをもらうが、
最期にそばにいたのはおこまだった。
それもなんかよかったな。