映画・小説の感想棚

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しあわせのカタチ

夫婦の脚本家、木皿泉は、
どのようにして物語を作るのか…、
1本のドラマを作るまで、
彼らを密着取材、NHKのドキュメンタリー番組。

DVDで視聴。
完成したドラマを見たけど、
やっぱり木皿泉さんのドラマは、
複数人出てる方が面白いな。
舞台を、木皿泉さんの自宅に設定したのと
人物が二人だったから、会話だけのドラマで、
あまり説得力がなかった…。
夫婦の仕事場の様子とかもないし…。
野ブタにプロデュース。」の後半や、
「富士ファミリー」みたいな、
たくさんの人々がそれぞれ悩みを持ってて、
何かがきっかけで交錯して流れる展開が、
とても好きなので。
もっといろんな人が出てくる
長編のドラマみたいなー。

しかしこの番組の目的は、
「このドラマを作っている木皿泉」が主人公。
奥さんのときこさんが、物語を作るときに、

「筋とかじゃなくて、
 あたしたちが作りたいのは世界です、
 みたいなことをずっと言い続けてましたよね。
 つまりそのー…、
 お話の展開がどうのこうのというよりも、
 主人公が、なんとか、なんていうかなぁ、
 本当に、ちゃんと生きれるように…、
 してあげれるっていうのは、
 あたしたちの仕事だよね。」

といっていたのが一番頭に残った。
今までの木皿泉作品を思い返して納得。

あとは、特に奥さんの方が、
「自分たちはこのままでいい!!」
と強く思ってそうなところに惹かれる。
旦那さん曰く、本当はあまりお金がないらしい。
だけど、お金も、エアコンも掃除機も、
なくても強く生きている。
ように見える。
(エアコンや掃除機は必要ないと
思っているから購入されていないだけだけど。
それもそれですごい。)
「とりあえず今大切な人が生きていて、
仕事があって、
明日のお金の心配がないこと」
がときこさんの幸せなんだという。

旦「女の人ってそういうとこあるみたいですよ。
 ただいま、現在、今ここ、
 ていうかもう本当にそれさえあればいい、
 みたいな。」
妻「今さえちゃんと幸せだったら
 全然オッケーなんですよ。人間って。」

あー、木皿泉さんの作品やエッセイ含め、
「今幸せならいい」という言葉に
どれだけ励まされたか。
情緒不安定な私はよく将来について
不安になって今現在の状況も
冷静に見れないことがある。
それでやけくそになって、
時間があってもやるべきことをしてなくて
イライラして、という悪循環に陥る。
しかし、「今幸せならいい」って奥さんの言葉は、
「確かに今現在不幸せかといわれたら違うな。」
と、冷静に今の状況を見ることができる。
見れたら、次あれしようこれしよう、
と今の自分から少し踏み出せる…。
だから心が弱い私は、
木皿泉さんの作品が大好きだ。

このDVDを見て、
具体的には奥さんの強さが好きなんだな、
と思った。

でもご本人たちは、
強いとか思ってないんだろうな。
自分は自分、と思っている方たちだから。

二人はもともと執筆が遅く、
奥さんは旦那さんの介護をして生活している。
確かにあの生活では、
どのタイミングで仕事しているんだろう、
と思った。
旦那さんは介護度4の重介護だけど、
奥さんがほとんど世話をしているのに驚いた。
奥さん一人でお風呂に入れてなかった…?
お風呂で介助者が来てくれるのは
週2回だという。
不可能ではないかもしれんけど、
それ以外でも入れてるのだったらすごいな。
私も介護の仕事をしていたので、
旦那さんがデイサービスやショートステイ
利用していたの知って、
「あー木皿泉さんの利用してる施設で
働きたいなー!!」
と下心丸出しの転職は何回も妄想したな。

あとは、旦那さんが、
企画を立ち上げた若手スタッフが
突然やめたことについてぽろっと本音が。

「これから先無駄なこともね、やることもね、
 あのー…、人生には必要なものって
 思ってるじゃないですか。
 でもね、あの人はね、無駄やって思ったらね、
 パッと切ってしまうんですよ。」

…憶測で人を、こうだ、
と決めつけるのはあまりよくないと思うけど、
「無駄なことも人生には必要」って言葉好き。
これも木皿泉作品で、よく聞く言葉。
無駄に見えていることも、
それが小さな幸せだったり、
よくよく役に立つことだったり、
ってことだよねたぶん。
不器用な自分がとても肯定されてるみたい。
とまた情緒が安定する。
が、
「これ売れっ子の木皿泉さんが言うから
肯定されるわけで何も成し遂げていない私が
肯定されるための言葉ではないんじゃないの?」
とまたブルーになったりする。
めんどくさいな自分は。

特典映像も観た。
2011年にNHKで放送された本編から4年後、
2015年の夫婦と自宅の様子。
まさかのクーラーと掃除機の購入。
クーラーが大好きになっていた旦那さん。
ちょっとそれ見てショックを受けたんだけど、
それこそ木皿泉さんのよくテーマにする、
「変化していく」よな。
やっぱり人間変わるんだー、と。
でも木皿泉さんのドラマは、
2003年の「すいか」から、
本質的なものは変わってない気がする。
だから好きなんだけども。
安心する。
いつのドラマを見ても、
木皿泉さんがいるから安心する。

そのほかの特典では、副音声付きのや
スペシャルブックというのもあったので、
また情緒不安定になったら、
見てみたいと思います。