映画・小説の感想棚

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すいか 3・4話

34歳OL基子、27歳漫画家きずな、
大学生大家ゆか、50~60代?大学教授、
独身女性4人で、シェアハウスをしている。
3憶円を横領した基子の同僚馬場まりこは
今も逃走しており…。

【ネタバレ】

好きが止まりません。
大塚愛さんのED、
桃ノ花ビラ」も可愛くて好き!!
きずな役ともさかりえさんと
ゆかちゃん役市川実日子さんが
スタイルよくて、毎回衣装が楽しみ!!
レトロなキャミソールが多くて、とても夏感がする。
最近の若い人って露出が少ないから、
もっとかわいいキャミソールとかノースリーブ
着ればいいのにと思う。

3話。
3話が私の中で、一番印象に残ってる話。
OL基子は学生の時に友達と約束して、
一緒に原宿に行くため
コツコツと百円玉をためていた。
しかし友達は画材を買うため百円玉貯金を
使い、現在イラストレーターになっている。
友達の現状を知った、
今も百円玉をためている基子。
「殻を破らなきゃ!!」と、
百円玉貯金を、使いに街にでる。

そこであったのが、2話で出てきた
間々田さんの娘に振られた響一。
響一は、気になっているきずなに
6万8千円のブレスレッドをプレゼントして
断られたところだった。
基子と響一は、一緒にお茶をしている。
基子は響一がしたことにひいていた。

「君が、きずなさんにあげたのは、数字よ。
 6万8千円っていう数字!!
 …それがきずなさんには
 負担だったんじゃないのかなぁー?」
「数字ー…、ですか。」
「これぐらいのものをあげとけば大丈夫とか、
 そんな風に思ったんでしょ?」
「あぁ…、そうかも…。」
「ま、みんなそうなんだけどねぇ…。
 中身なんかなんだっていいのよねぇ…。
 数字だけ。今日はタクシーのらなかったから
 660円得したとかエレベーター止まって
 5分損したとか、昔は偏差値75はあったとか
 もうそんなことばっかり言ってるじゃん。
 体重が3キロ減ってものすごくうれしいとか、
 新作バッグ19万でかっちゃった、
 んでそれ買うのに2時間も並んじゃったとか、
 それがなんだっつーの。
 損したとか、得したとか、数字ばっかり。
 あのねぇ、この世の中は、何やったって
 数字でしか判断してもらえないの。
 それなのにさぁ、なんで君までさぁ、
 自分の行為を、
 その数字みたいなもんで示そうとするわけ?
 それも、
 6万8千円なんていう半端な数字でさぁ。」
「…………。」
「馬場ちゃんだってね、
 3憶円の女って言われてるけど
 馬場ちゃんの人生はそれだけじゃないわよ。
 冗談じゃないわよ。
 人のこと数字だけで呼ぶなっての。
 私は言いたい。もうなによ、なんだってその、
 えぇ?今いくら持ってるとかさぁ、
 貯金がこれだけたまったとかさぁ
 そんなんでえばんじゃな…………。」
「どうか…、しました?」
「…………。」
「…あ、おなかが痛い!?」
「……数字に、ずっとこだわってたのって、
 私かも…。もっともっと百円玉ためたいって…。
 ほしいものなんか、別にないのに…、
 数だけほしいって…。
 ずっと思ってたの、私だわ…。」
「…あぁ、そういうことか…。」

数字にこだわる、めっちゃわかるわー。
数字にこだわりたくないけど、
結局自分がこだわってるっていうね。
小林聡美さん好きだわ。
小林聡美さんって
しっかり者の役するイメージだけど、
「すいか」での基子は常に迷っている。
迷いながらも、自分の意志を持って
生きようとしているところが好き。

ほしいもののない基子は、百円玉貯金を、
路上ライブをしている若者にあげる。
もちろんまだまだ余るが…。

その夜、晩ごはんには、
教授の友達からもらった豆腐が出てきた。
「ハピネス三茶」内でも、「おいしい」と評判。

基「でもいいですよねぇ、
 こんなに喜んでもらえる仕事って。」
ゆ「え?お豆腐屋さんのことですか?」
基「私の仕事なんかもうだれも
 喜んでくれてないような気がする。」
教「…………。」
き「……なんだほしいものってそれか。」
基「それって?」
き「…だから、みんなに喜んでもらいたいって?」
基「……あそっかぁ。…そうだったのか、私。」

残りの百円玉貯金は、「ハピネス三茶」住人が
欲しがっていたクーラーになった。
みんなが集まる共同場に取り付け、
みんなに喜んでもらえるようになった。
さらに、以前から部長に言われていた、
「引っ越し祝い」。
基子はモノではなく、
「ほめてください。」と部長にお願い。
最初は部長も、基子の用意した文面を見て
ほめていたが、徐々に本心を打ち明ける。
「新人教育を押し付けてすまない、
本当にいつも助かっている、
馬場ちゃんにも早くこう言っておけば。」と。
そしてうれしくなる基子。

はー、みんな幸せになればいいのに。

4話。
やっぱりいいなぁ。
朝は大家のゆかちゃんが
作った朝食から始まる。
たまたまその日はきずなが漫画の徹夜明けで
一緒ではなかったけど、本来は一緒に食事。
4人が住んでいる「ハピネス三茶」は、
大きい窓が多く、日当たりが良い。
夏の物語なので、至る部屋に扇風機があって、
よけい夏らしさが出ている。
私もシェアハウスの経験者だけど、
またしたくなってきた。
私が住んでいたところよりも、遊びに行った
同じ系列のシェアハウスがよかった。
古くて趣の一軒家、コタツ、猫、大量のお酒、
中庭の柑橘系の木、食事を作ってくれる住人…。
ものすごく冬感が出ていて、
なんだか物語の中にいる気分だった。
結局男女6人でだらだらだべり、
泊まらせてもらった。
あの独特の雰囲気、もう一度味わいたいな。
朝も朝で、その家の雰囲気がよかった。

この、「すいか」は、
1日の出来事でまとめてる話が多い気がする。
今回も、1日の出来事。
基子はずる休みをし、きずなはバイトに挑戦し、
教授は「ハピネス三茶」を出ていくのに悩み、
ゆかちゃんはひたすらプチプチをつぶしている。
間々田は教授から
京都のお土産をもらいに来たついでに
桃を箱で持ってきてくれた。
…間々田って、妻子いるのに休日のたびに
「ハピネス三茶」に来ていいのか?
しかもその日は結婚記念日…。
よっぽど奥さんのこと恐いんだろうなぁ。

基子が、
夜に部長と課長にのみに連れまわされ、
酔った勢いで「ハピネス三茶」のごみ箱に
制服捨てるの好き!!

「ふんっ。こんなもーん。
 んっ。はっ、ざまーみろー!!」

基子翌日の朝思い出して、呆然として、

「捨てた?捨てたよ私ー。」

って外のごみ箱にダッシュするのも好き。
笑った。
でも前回部長は基子のことを
本心からほめてくれたし、
いい人ではあるんじゃないかな。
まぁでもやっぱり仕事自体がうっとうしいか…。
その後基子は仮病を使って
会社に電話をしてずる休み。
朝早く理不尽な漫画の直しを言われたきずなと、
ずる休みの基子が顔を洗っていて、
基子がずる休みしたことを話す。

き「で、今日は何すんの?」
基「…さぁー何しよっかなー。
 …はぁ。ずる休みって初めてなんですよねぇ。」
き「へぇ。初めてなんだぁ。」
基「……。あら!?そちらこそ、
 徹夜明けなんじゃないですか!?
 なんで起きてんのかなー。」
き「いや…、そ、それが、もう、今日、朝、
 すっごい朝早くに電話があって、でも、
 その電話…。……。あ。あ。い、今。
 今、こここここの辺で、プ、プチンて音がして。」
基「え、血管!?」
き「じゃなくて。……。き、気持ち。
 プチンて…。今切れた…。」
基「それ…、それ、すっごいよくわかります。
 あたしもプチンて。」

基子、昨夜の、
制服をごみに捨てたことを思い出す。

き「決めた。漫画止める。」
基「…はえ!?なんで!?」
き「いや、いやだって、
 プ、プチンて来たらそれは、
 こ、身体が何かを知らせてる証拠だって、
 おばあちゃん言ってたし。」
基「そ、そうなんですか…?」
き「そう。」

プチン、はわかるなー。
働いているとき、これを見ていたから、
プチンという感じわかったのかも。
同じ毎日の繰り返しで、
成長もなくて(これは自分も悪いけど)、
理不尽にすごい怒られた次の日、
ずる休みした。
その時たぶん、
「すいか」のこの場面思い出してた。
別に私が休んでも少しみんなに
迷惑がかかるだけで、それでも、
「ざまーみろ。」と思ってた。
一日ゆっくりしたら
気持ちもだいぶ落ち着いた。
正直変な話、仮病はある意味大事だと思う…。
ただの休日では意味がない。
「休んでやったぜ!!」っていう、
会社に対しての反抗。
毎回毎回やってたらただ信頼失うだけだけど、
本当に、プチンて来たときは、休む方が楽。
…なんか今回の感想自分語りが多いな。
でも木皿泉さんの作品は、エンタメというより、
自分の内内に入ってくる話が多い。
自己啓発本じゃないけど、
見て、考えさせられることが多い。

夕方。
3憶円横領をした馬場の話を基子から聞くため
「ハピネス三茶」に来ていた刑事、
基子のずる休み事情を聞いていた。

刑「ないんですか?なりたいもの。」
基「……。あたしは…、馬場ちゃんになりたい。」
刑「彼女は犯罪者ですよー?」
基「でもあたしも逃げたい。親から。仕事から。
 …こんな自分から。あたしも逃げたい。」
刑「早川さん、人に嫌われてもいいんですよ?
 こう矛盾している自分を
 許してあげなくちゃだめです。」
基「でも…、酔っ払って、制服捨てちゃってって、
 会社ずる休みして、後輩に迷惑かけて。
 …どうもだらしない。」
刑「いいじゃないですかだらしなくたってー。
 ずる休みOKです。
 きっとあなたにもあるはずですよ。」
基「信金のOLっぽくないみたいな?」
刑「そう。…もしかしたら、
 あなたが持ってるものは
 まだこの世にないものかもしれないし。」

逃げたいというのすっごく良くわかる。
ただただ生きるために同じことして働いている
このループから解放されたい、っていう。
まれに連休があっても結局、
~日には出勤、という憂鬱さ。
現在仕事をやめて、解放はされているけど、
社会とつながっていない感じがすごくある。
駅とか人込みを見ていると、不安、
とまではいかないけど、「働いていないから」、
人として駄目な感じがする…。
いずれ就職するんだから
そんなこと思う必要ないんだけど。
前職の先輩の話を聞いていると、悩みでさえ、
「いいなぁ、楽しそう。」と思ってしまう…。
やめて後悔しているのかといわれたら
全然そうではない。
やめて、私も働いている間は一応、
社会とつながってたんだなぁ、という感じはした。
働いている最中は毎日同じ繰り返しだから、
気づかなかったけども。

また自分語りに…。
基子の制服は、結局きずなが、
ごみだけど使えそうと思って拾っており、
無事だった。
翌日から基子は会社へ行った。

刑事役の片桐はいりさん好き。
「富士ファミリー」では
コメディっぽいおばあさんになってるし、
かもめ食堂」では
おどおどした大女の役をしている。
ばらばらの役なのに、
同一人物に思えないというか、
それぞれの人間になってる。
さすが役者さん…。

教授とゆかちゃんの関係もいい。
京都からスカウトされた教授、
行こうかやめようか迷っている。
教授は、「ハピネス三茶」から
母親が出ていくのを見送る
幼い時のゆかに、ある約束をしていた。
「私は絶対出て行かない。
もし出ていくならこの大事なブローチを
あげる。」という約束。
教授は、もしゆかがその約束を覚えていたら、
京都行を断る、忘れていたら、京都へ行く、
と自分に決めた。
約束忘れてるのかなぁと思ったけど、

『教授の約束はもう無効ッす。
 好きな時に出て行っていいデス。ゆか』

という手紙を残し、背中を押してくれた。
それを見て教授は、
「ハピネス三茶」に残ることにした。

そんなわけで、4話もとても素敵でした。