疲れた人だけが訪れることのできる「満月珈琲店」、きれいなイラストとともに紡がれた4編の短編集。
【ネタバレ】
とてもよかった。
この人のイラストはpixivで目にして好きだったが、ストーリーもとてもイラストと合っていて、満足な本だった。
4編のうちの1編目、訪れたお客さんは、慕っていた4つ上のお兄ちゃんに失恋をした小学6年生の女の子。
2編目はアイドルをやめ地元に戻ってきた26歳の女性。
どうやらこの女性は、最初に訪れた小学6年生の女の子らしい。
後半もこの女の子と4つ上のお兄ちゃんの人生や考えがつづられる。
4編とも「失恋」「アイドル業を失ったこれからの人生」「自分の自信のなさ」「旦那を亡くした」と苦みのあるストーリーで、それがうまく夜空のイラストに溶け込んでいた。
苦いからこそ、ストーリーは輝くのだなと思った。
失恋があるからこそ恋がかなった時、自信がないからこそ頑張ろうと一歩踏み出す時は人よりも輝いて見える。
スイーツのイラストは明るく楽し気で、それもまた魅力的に見える。