
高校2年生から藝大を目指す男子高校生、矢虎の様子を描いた青年漫画「ブルーピリオド」。
「ブルーピリオド」に登場する矢虎を含めた5人のキャラを主人公とした、スピンオフ短編小説。
【ネタバレ】
原作漫画を読んでドはまりし、大葉先生のガチ勢になったので小説を購入。
「あの日の僕ら」という副題通り、5人の主人公すべて、過去エピソードだった。
基本的にみんなエピソードが重かったけど、原作キャラが魅力的で、かつ読みやすい日本語だったのですいすい楽しく読めた。
ユカちゃんが女装するようになった過去はいつか本編でするもんだと思ってたから、スピンオフ小説で暴かれたのはびっくり!
男として生まれ、女のものが好きなの人生っていうのはすごくつらかったんだなぁ…!
たまにテレビで女の子みたいな恰好した男の子を見るけど、ああいうのは案外親からの強制じゃなくて、本人がそういう格好したくてしてるのとかもあるのかな。
王子様の皮をかぶったユカちゃんは、自分の好きなものを「好き」と言えなくて、内面と外面が乖離して心が徐々に死んでいった。
優等生の皮をかぶった矢虎も最初は美術を「好き」と親に言えなくて、内面と外面が少しずつ乖離していってたしな。
自分が好きなものを「好き」というって本当に大切なことだと思う。
大葉先生は、美大生の時から大葉先生で好きw
でも過去はとても重かった。
みちおとのエピソードは何かしらでハッピーエンドに向かうのかと思ったらまさかの自殺エンド…。
「アート」と「病み」ってめっちゃ背中合わせな気がする。
原作漫画で藝大の授業の様子が描かれていたけど、「もっと個性を」とか「お前の内面を」という、心が内に向かうような指導のされ方をしている。
それで各々人と違うことをしようといろいろ描いて(造って)みるけど正解があるわけじゃないからみんなドンドン訳が分からなくなって鬱っぽくなっていってた。
わかりやすかったりキャッチーなアートが世間で評価されたら、それはそれで周りは嫉妬して陰険な目で見てるし…。
やっぱり食べていくには大衆に受けるようなアートをしないといけないと思うんだけど、それは違うのかな…。
そして大葉先生に大学生の息子がいたことにもびっくりした。
40前後くらいの年齢かと思ってたから、そうだとしたら本当に早く美術で食べていくことをあきらめて結婚して子ども産んだんだろうな。
こうして5人の人生の過去が紐解かれると、みんなそれぞれいろいろあったんだなと思わせてくれた。
キャラたちに深みが増したというか。
再度原作漫画を読みたくなった…。