映画・小説の私感棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

ビバリウム

作者:小松成美

 

両親の愛情を一身に受け育てられた沢木アオだったが、小学生になり、勉強もスポーツも人よりできないことに気づき、劣等感に苛まれる。

小学3年生でボカロに出会い、中学2年生になると、Adoという名で初めてニコニコ動画で歌ってみたを投稿し…。

 

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【ネタバレ】

 

本書はスカウトされるところから始まるので、まず全体をぱらぱらと読み、幼少期エピソードが始まる3章から読み始めた。

個人的にはこの時系列順で読んでよかった。

 

今や世界のAdo様も、普通のインキャやオタクが通る、“周りとうまく馴染めない自分を嫌いで二次元に光のような居場所を見出していた”、と思うと親近感がわいた。

Ado様はボカロに、私はワンピースに居場所を見つけて、その沼にハマっていった。

小中学生エピソードはあまりにも感情移入しすぎて、あぁ私もAdoだったのかと、 Ahoなことを考えながら読み進めていった。

 

レコード会社と契約するにあたって求められた課題曲、EGO-WRAPPINの「くちばしにチェリー」。

この曲めちゃくちゃ好きで、こないだYouTubeで Adoが突然あげてた「くちばしにチェリー」に大興奮してたけど、あれ課題曲だったのか!

今また聞いてみた。

アレンジしてるからか本家のメロディとは少し違うけど、Adoだからこそ、出てくる声色と息遣いで、後半の「♪くちばしにい″い″い″」のがなりはとってもいい。

これがデビュー前の歌唱なのがびっくり。

本当にフルで配信してほしい。

そのほかの課題曲、MISIAさんの「つつみ込むように…」も絶対いい、聴きたい…!

 

そしてだんだんアオが 成長するたびに気になるのが、沢木家のこと。

なんか前々から感じてたけど、一般的に不登校とかいじめとかの生徒がいる時…。

メディアではよく学校に責任があるようなことが報道されてるけど、一度もっと家庭環境を見直す報道をした方がいいんじゃないの?と今回この本を読んで改めて感じた。

アオはいじめられてないし友達もいるのに、それでも両親の不仲で家の中で居場所はなく、自分が生まれてしまったことへの罪悪感もかなり大きなものへとなっていった。

小学生のアオが、激しい喧嘩をする両親を泣き叫んで止めてるのに、全然届いてなくて止まらないところしんどすぎる。

結局両親は離婚したんだな…。

最後のページのAdo本人が書いたメッセージでは、両親に向けて、

 

「年末はいつもどこへ帰ればいいの?久しぶりにママにあった時には何を話せばいいの?パパは毎年誕生日プレゼントを送ってくれるけど、どんな気持ちで受け取ればいいの?」

 

とあるので、父親とは連絡はとっていること、母親とは今も仲良し母娘ではないことが考えられる。

それでも、幼少期の温かい思い出は大切だし両親のことを嫌いになりきれない思いも伝わってきて、切ない。

とりあえず今後父親が変な形で「Ado」に関わってこないことを祈る。

 

読者に対してのメッセージでは、異様なほどの謝罪…。

え、なに…?とびっくりした…。

Ado様は我々になにを謝っているんだろう…?

私はSNSはチェックしてないから、SNSでの発言はわからないけど、本書にもあったブログの失言の話?

頭のおかしいアンチは一部いるだろうけど、発信者は、もっと堂々と発言して大丈夫。

そう思える世の中になればいいな。

 

本書を読んで、Ado様の点として知っていた情報の理由が、ルーツを知ることによって全部分かった。

プリンセスが好きな理由、ボカロが好きな理由、歳の割にしっかりしている理由、発言に気をつけている理由、自分のことが嫌いな理由、今も「歌ってみた」を投稿し続けている理由…。

私自身こんなにハマったアーティストはいないので、これからも心身ともに健康で活躍してほしいです。