就職して2年目の小和田君は、
先輩や所長から誘われても
部屋で寝ることを選ぶほどの怠け者だが、
京都の宵山祭りの日、
街のヒーローぽんぽこ仮面の騒動に
巻き込まれ…！！
冒険好きな恩田先輩と桃木さんカップルが
かわいくて好き。
いろんな考え方の
キャラクターがいて楽しかった。
【ネタバレ・考察】
あとがきで、「宵山万華鏡」、
「有頂天家族」に通じている、
といっていたこともあり、
結構共通点が多かったように思います。
蔵で眠っていた小和田君と
柳小路のタバコ屋にいた玉川さんが
闇の中で再開し、宵山祭り真っ盛りの
京都の町へ戻っていくところ。
小和田君は、
ひらひらと通っていく赤い浴衣姿の
女の子たちを見る。
この子たちは、
「宵山万華鏡」に出てくる女の子たち。
女の子たちがいるということは、
京都のどこかの屋上に宵山様がいて、
永遠に宵山を終わらせない、
というたくらみをしてるはず。
現に小和田君と再会する前に玉川さんは、
宵山京都ですごく道に迷っていた。
『涼しげな金魚鉢が置かれた画廊』
（乙川がいたずらのために用意した金魚？）
やら、『赤い風船が漂う地下道』
（柳さんと千鶴さんがあってた喫茶店の前？）
と、「宵山万華鏡」に出てくるものたちを
見てるので、玉川さんも、
宵山で閉じ込められた京都にいたんだと思う。
恩田先輩と桃木さんは、
恩田先輩が昔住んでいた『下鴨幽水荘』にて
『閨房調査団』と『大日本沈殿党』に
もみくちゃにされてるぽんぽこ仮面をすくい、
母校の研究室を訪ね淀川教授と談笑している。
恩田先輩は、「京都の怪人は大体知り合い」
ということを言っていたらしいので、
『下鴨幽水荘』に住んでいる
樋口師匠とも知り合いなのかもしれない。
狸好きで元金曜倶楽部のメンバー
淀川教授も変な人だし、
恩田先輩というキャラクターも面白そう。
そんで淀川教授が先生だということは
恩田先輩はたぶん栄養学を習っていたはず。
恩田先輩は、食品に使うラップなどの
商品開発？の仕事らしいので、
つながってるんかな。
アルパカ顔の5代目が指揮している組織
『テングブラン流通機構』。
『テングブラン』の別名、『偽電気ブラン』。
レストラン菊水の屋上にて、
5代目がぽんぽこ仮面に扮した小和田君に
披露した『テングブラン』をいれる装置に
貼り付けられている黒いプレートには
金文字で、『夷川工場』と書かれている…。
『夷川』とは、「有頂天家族」で
『偽電気ブラン』を作っている主人公
矢三郎たちのいとこ家族たちのこと…。
5代目がラスボスかと思いきや、
5代目も上に使われた身だった。
彼は、『土曜倶楽部』の末席に
名を連ねている。
『土曜倶楽部』とは、月に一度の土曜日に
メンバーでイノシシ鍋を食べる集団だという…。
「有頂天家族」に出てくる『金曜倶楽部』は
月一で鍋をつつき
年末に狸鍋を食べる集団だが、
『土曜倶楽部』は月一でイノシシ鍋を
食べるという…。
そもそも、『テングブラン流通機構』は、
『土曜倶楽部』の傘下にあり、
ほかの部員から委託され番頭を
果たしているのが五代目、なんだとか。
ちなみに、『土曜倶楽部』の上に
位置するのが、『日曜倶楽部』…。
その後、小和田君は5代目に連れられて
ほかの『土曜倶楽部』のメンバーにあっている。
昆虫をバリバリ食ってるひげもじゃの大坊主は、
「宵山万華鏡」に出てくる『祇園祭司令部』の
メンバー高薮さんだろうし、
大きな羽子板を持った舞妓さんは、
洲埼バレエ教室の岬先生だと思われる。
「宵山万華鏡」では、
人間なのか妖怪なのかわからない
立ち位置にいるが、私の予想では、
この二人は人間の世界に溶け込んでる妖怪、
だと思ってたので、今回この二人が
『土曜倶楽部』のメンバーとして出てきたので、
やっぱり妖怪なのかな、と強く思った。
ちなみに、「宵山万華鏡」では、
『祇園祭司令部』の創設者である
丸尾という男もこの二人同様に怪しかったが、
今回は出てきてない様子。
物語のクライマックスでは、小和田君は
「ぽんぽこ仮面」をあらゆる人へ引き継いだ。
その神託は八兵衛明神から
赤い浴衣の女の子、
さらに大還暦を迎えた老人3人…、と。
大還暦（120歳）、ということで、
「夜は短し歩けよ乙女」の李白氏
（「有頂天家族」では寿老人）を思い出したが、
李白氏（寿老人）は、大還暦手前、
だったので、この3人のほうが偉いんだな、
と思った。
李白氏（寿老人）は、
森見作品の偉さカーストで
トップに君臨すると思っていたので…。
そして最後、
浦本探偵事務所の探偵である浦本さんは、
「有頂天家族」の矢二郎だという説…。
あるブログを拝見してこれを知ったが、
すごい納得…！！
私も本書を読んでいるときに、
「弟がよく事件を起こすハチャメチャなやつ」
というのは気になってて、てっきり
ぽんぽこ仮面と兄弟なのかと思っていたが、
違うかったし。
ほかにも回収されてない伏線っぽい台詞は
大体矢二郎の設定と共通してて、
ウワーってなった。
