映画・小説の感想棚

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木皿泉 ~しあわせのカタチ~DVDブック

夫婦の脚本家の木皿泉さんの
ドキュメントDVDについていたスペシャルブック。
妻のときこさんの介護日記や対談や
「世の中を忘れたやうな蚊帳の中」
とデビュー作の脚本など。

【ネタバレ】

木皿泉さんの世界が満載で幸せだった。
特に印象に残っているのが、
2004年に夫の務さんが倒れてからの
ときこさんの介護日記。
務さん、10月15日に脳内出血で台所で倒れ、
生きるか死ぬかの瀬戸際に。
もし、務さんが救急車を呼ぶのを嫌がらず
すぐ運ばれていたら
後遺症はましになったのかな。
と、ちょっと思ってしまった…。

ときこさんは日記が続く11月15日まで
毎日欠かすことなく病院へ通っている。
大体、8時半に家を出て、
20時に病院を出ている。
家事をして、
務さんの服やパットなどの用意して、
お客さんの対応して、書きものの仕事をする…。
なんかもう…、すごすぎる。
1日、めちゃくちゃ泣かれていた日があった。
務さんが飲んでるお薬の副作用で
頭がマヒして言ってることが
意味不明になっている、ときのくやしさで。
そりゃそうだろうなぁ。
妻としてずっと一緒にいたのに急に、
動かなくなり、ちぐはぐなことを言い出したら、
辛いものがある。
いやでも本当…、お義父さんはよく
お見舞いに来られていたらしいが、
ほぼ一人で世話している。
今でこそお二人、マンションで暮らしているが、
その頃はどうなるかわからなかったと思う。
そういう不安もあったんだろうなと思ったら余計、
じんじんと胸が痛くなった。

そんな闘病中に話が持ち上がった
「来年の秋の連ドラ」の依頼。
それが、亀梨和也さんと山下智久さん主演の
野ブタ。をプロデュース」になる。
当時中学生の私は、
リアルタイムで毎週楽しみにしていたし、
学校でも一番流行っていたドラマだった!!
こんな華々しいドラマのたった一年前に
こういうことがあったとは、と、
いろいろリンクして読んでしまった。
この本には書かれていないけど、
野ブタ。をプロデュース」の時は
確かときこさんはうつ病になっていた。
本当に、いろんなことを乗り越えた方たちだ。

DVDのドキュメントの中のドラマ、
「世の中を忘れたやうな蚊帳の中」
の脚本も読んだ。
先にドラマを見ているので
、この活字からああいう演出になるんだー、
という発見も面白かった。
妻の「ツマちゃん」と旦那の「ダンちゃん」の
出会いのきっかけ。
ツマちゃんが居酒屋の二人専用の座敷で
一人で飲んでいておじいさんに絡まれ、
ダンちゃんが座敷に上がるところ。
文字では二人の会話だけだけど、ドラマでは、
紙の居酒屋と登場人物の舞台セット?で、
再現されていた。
とてもかわいくてわかりやすかったシーン。

「世の中を忘れたやうな蚊帳の中」は、
夫婦二人の会話や出来事だけで、
進んでいくミニドラマ。
ドラマの始まりは、酔っていたダンちゃんが
街頭インタビューでいった、
「今の生活が嘘っぽい」発言から。
ツマちゃんはそのテレビを見て、
「『ママゴト』が今も続いている」という。
『ママゴト』は、出会った居酒屋の座敷で
初対面なのに二人きりで食べたこと…、
そういうのを今も続けている、と。
それを聞きしばらくしダンちゃんは、
「これからも『ママゴト』とやらを続けてやる!!」
と決意する。

夫婦生活は長そうだけど、
案外ドライな男女の話なんだな、
と脚本を読むと改めて思った。
このドラマは、番組サイドから、
木皿泉さんなりのしあわせのカタチを」
といわれて作られたドラマ。
なので、木皿泉さんの考えがほぼそのまま、
ツマちゃんとダンちゃんになっていると思われる。

だけど、ツマちゃんダンちゃんも木皿泉さんも、
お互いに対してとても愛情がある。
ドラマのラスト、
リストラを宣告されたダンちゃんは、
プライドがあり、
安いボロアパートを借りて家出する。
ツマちゃんはためらうことなく
今の家をダンちゃんの双子の弟に譲り、
自分はボロアパートに向かう。

ドライな考えを持つ一方、
愛情はしっかりある世界。

にしても木皿泉さんお二人、
MBSの「ちちんぷいぷい」好きよなー。
とても親近感わく。