映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

火花

又吉直樹

売れない若手芸人の二十歳の徳永は、
芸人の中でも異端者扱いの4歳上の神谷にあこがれ、
師匠、として慕う…!!

「面白い芸人でありたい」という意識は
徳永にも神谷にもあるが、
理屈っぽく漫才を考える徳永が、
自分の芯を曲げず
純粋に自分の笑いを模索してる神谷に
あこがれるのは自然やし、
私も神谷にあこがれた。
ラストの、神谷が落ちるとこまで落ちる展開は、
皮肉にも自分の人生として貫いている
「芸」によって狂っていってるから、
胸がすごくずきずきした…!!

「一度しかない人生において、
 結果が全くでないかもしれないことに
 挑戦するのは怖いだろう。
 無駄なことを排除するということは、
 危険を回避するということだ。
 臆病でも、勘違いでも、救いようのないバカでもいい、
 リスクだらけの舞台に立ち、
 常識を覆すことに全力で挑める者だけが
 漫才師になれるのだ。
 それがわかっただけでも良かった。
 この長い月日をかけた無謀な挑戦によって、
 僕は自分の人生を得たのだと思う。」

世間が、徳永たちのコンビ、
スパークス」をどう評価しようが、
人生というものはその人間のものなんだから、
結局本人が納得出来たらいいわけで…、
すごく共感した。

これを読んだ後には、「紅の豚」の主題歌、
時には昔の話を」を聞きたいな。