映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

夜は短し歩けよ乙女

大ベストセラー、「夜は短し歩けよ乙女
恋愛ファンタジーのアニメ映画。

いいように言ったら遊び心満載の
実験的な映画だけど、
原作ファンの私個人としては、
夜は短し歩けよ乙女」という
完成された作品を、
よくもあそこまでぶっ壊してくれたな、
という感じ。
もちろんそういうアニメにすることで
世界観にあってるシーンも
たくさんあるけれど、
先斗町から帰っていく李白電車が
壮大に描かれていない、
乙女が川に落ちた先輩に
手を差し伸べるシーンがない、
いろいろ画策したけど
結果必然的にラタタタムに触れる
先輩と乙女のシーンがない、
ゲリラ劇で命からがらパンツ番長の
代役ではなく先輩本人がステージ乗っ取り、
パンツ総番長の恋路がまさかの展開で
薄っぺらい。
ざっと上げるだけでこんだけ本編と違う。
なにも、
本編と違うからいらだっているのではなく、
ていうかドラマや映画になると
どうしても省かなきゃならない
ところがあるから、
もちろん別物としてみるようにはしてる。
でも、先輩がここまで
乙女を好きになったきっかけは
夜の先斗町で手を
差し伸べられたからだし、
ラタタタムに同時に触れる
シーンがあるから
不思議で不気味なあの章も
ぽかぽかいい話で終わっていた。
なんかね、コメディ色が強く、
キャラの思いがないがしろにされ、
マジでふざけすぎてるように感じた。
原作の魅力は、
一章ごとに話が区切られていって
4章4様の色が出てて、
だけど二人の気持ちは
4章通して変化している、
から読みやすくて面白い。
のに、映画は、
先斗町の話に古本市の伏線はったり、
なんかもうごちゃごちゃしてる。
しかもなんか、
古本市の話にはいる前、事務局長の、
「この絵本はどこでも手に入るけど
彼女の名前入りのやつは古本市に
出回っているらしい。」っていうの、いるか?
何この説明、物語の都合やん。
はなから、先輩に絵本を持たせるため、
先輩を動かしてるって感じ。
せっかくの先輩のキャラが
全然動いてる感じせーへん。
1章、2章、って二人の
距離縮まるシーンカットされてるし、
3章の抱きしめるシーンも抱きしめたのか
抱きしめてないのかわからん割りに
二人キスしようとしてるので
意味不明だった。
でも、原作でいう4章目の部分はよかった。
李白を通して、人はつながっている、
っていうテーマみたいなのあったし。
ラストは乙女はドキドキしながら
先輩のもとへ、
先輩は好きなんだけど
どうしたらいいのかわからない葛藤が
かわいくて、小説読んだとき同様、
心がポカポカした。
…まぁ、それも小説読んでそれまでの
二人の過程知ってるから
っていうのもあるけどな。
初めて見た人はどう思ったんやろ。

チケットかったらなんか小説もらったので、
楽しみにしてる。