映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

今夜、ロマンス劇場で

主演:綾瀬はるか

映画の助監督であるけんじは、
ある昔の映画のヒロインに恋をしてしまい…!!

【ネタバレ】

ただセットや役者がかわいいだけの、
しょうもない邦画だろう、
と思っていたらとんでもなかった…。
中盤までは、
綾瀬はるかさん演じるヒロインに腹が立った。
わがまま言い放題。
さらに、いろんな服や髪形をしていて、
綾瀬はるかさん自体がかわいいのはわかるけど、
製作者側が、「綾瀬はるかはかわいいだろ?」
と押し付けてる感じがしてむかついた。
綾瀬はるかさんを押し付けたいなら、
もっと内面から可愛く見えるような演出にしろよ、
と。

そんなヒロインがなくした自分のお守りを
けんじに探すよう命じるが、
けんじもヒロインに腹が立っていたので応じず、
彼女は雨の中草を這って探す。
それでけんじはヒロインを見直して
好きになりなおす…。
って、いやいや、
ヒロインはただ自分がなくしたものを
自分で探しているだけだぞ、と。
けんじにしたわがままと迷惑は
水に流せてないぞ、と思った。

が、中盤、ヒロインが現代へ来た理由を
けんじに打ち明ける。
そこでちょっとヒロインのこと好きになったな。
それから二人の関係は
いい方向へ変わっていくが、
互いに複雑な思いを持っていく…。
終盤、けんじが、
「君じゃなきゃダメなんだ。」って、
物語ではよく聞くセリフだけど、
ジーンとしてしまった…。

そして、実はこうなっていた、の部分に鳥肌が…。
最近よくある日本の恋愛映画では、
若い男女の、主に女性のほうが、
病気なかなんかで死んで、
感動的な作品に仕上げている
っていうのが多い。
個人的にああいうのは好きではない。
実話をもとにしたのは別として、
死を軽く扱っているように見える。
作り手が、
「とりあえず落ちに死を持ってくれば…。」
みたいな。
この作品も、
もしかしたらそうなのかもしれないけど、
この二人はちゃんと、死ぬ前に、生きている。
何十年も…。
だから、感動した。
あの二人の状態で何十年も生きるほうが
難しいと思う。
それをやってのけたからこそ、
最後のヒロインの涙は、重かった…。

いい映画でした。