映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

野ブタ。をプロデュース 9

主演:亀梨和也

2話からずっと信子に嫌がらせをする真犯人あおいとの最終決戦…!!

 

【ネタバレ】

「本当のことを受け入れるのってすごくつらいけど、でも、できないことじゃないから。」

傷ついて不登校になった信子を心配してる修二にまりこがかけた言葉。
以前、「私たち付き合っているの?」と好きな修二に問いかけ、「俺ははじめからお前を好きじゃなかった。」と突っ返された真理子の言葉だからこそ重みがある…、ていうかいい子すぎやろまりこ。
そして初めての友達あおいに傷つけられた信子の心をいやしたのは、クラスメートからの愛のこもったビデオレターだった…。
今までいじめられ人生を送ってきたからみんなに愛されるということを知らなかったんやろうな、じんわりと温かい涙がほほをつたい、すごいこっちも感動した…!!

「起」である野ブタのプロデュースが結成された1話、「承」の2~6話は徐々に三人のきずなが深まり、「転」の7~9話は三人の関係が崩れていくところに嫌がらせの真犯人あおいも絡んできて、修二と彰が恐れてた最悪の事態(あおいのせいで信子が傷つくところ)が起こり、「結」の9話の最後の方で、みんな同じ夢を見るとかで、あおいは自殺をとどまり信子たちの元から去り、信子もクラスになじみ、修二もみんなと元通りの関係になる。
物語としてはこれで完結してるけど、これではただ、「解決」しただけになるし、彰と信子の関係もまだ決着ついてないので最終回の10話が非常に楽しみ…!!

【再視聴】

 

物語が始まったころの修二は斜に構えて気取っていた。

しかし、気取らずまっすぐな彰と信子とかかわることで、性格が柔らかく変化していく。

信子をいじめていた犯人アオイがプロデュースに参加することになったが、修二たちのプロデュースのやり方に口出ししてくる。

修二は自分たちのやり方と違うアオイの意見に反論する。

 

修「我慢したり辛抱することが何?そんなにいいわけ?」

ア「だって、人間はそうじゃなきゃ進歩しないでしょ?」

修「いや俺はそうは思わないけど。えっと…、我慢したりさ、辛抱したりしてるから、人にやさしくできない嫌な人間ができんじゃないの?いやだって、俺はやっぱり、人にはやさしくされたいし、だからこれから先はできるだけ人にはやさしくしていこうと思っているし。」

ア「やさしくされたいだって。…言ってること、まるで子どもじゃない。」

修「いいよ。子どもで。」

ア「……。」

 

アオイは彰にも修二と同じようにケンカを売るが、反論される。

おそらくアオイというキャラは、人を試すことで人の価値を見ているのではないかと思う。

今まではアオイが何か吹っ掛けたら思い通り崩れていってくれたのでそれを自分の力でできた、という優越感に浸っていたのだろう。

友として対等に誰かと付き合えば裏切られたとき傷つくけど、傷つけて優越感に浸る分には、自分に被害はない。

何か訳ありな過去があるんだろうけど、明かされてはいない。

 

ぐっと来たのはやっぱり信子がビデオを観るシーン。

信子は友達ができて本当にうれしかったのにひどい形で裏切られ、絶望して学校を休む。

しかし信子を見ていたのは友達のアオイだけではなかった。

クラス中が信子を心配して、お昼の放送に信子のリポートを必要としてくれている。

それをビデオで知って、涙を流す。

 

あと木皿さんのストーリーには、身近な食べ物が多く出てくるなと改めて思った。

弁当、焼き栗、前回はタイ焼き、と。

信子の憔悴しきった心にしみらせる甘栗の温かさ、修二と父親が分けて食べたタイ焼き…。

些細だけど食べ物が力を与えてくれるエピソードになってる。