映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

聲の形

小学6年生の将也、クラスに耳が聞こえない女子梢子が転校してくる。
将也は梢子をいじめ、今度は将也がクラスからいじめられるようになり、人間不振のまま高校生になる…!!

【ネタバレ】

悲しいな…。
でも、人間の奥底まで描写されていて素晴らしかった。
意志がきっぱりわかっているキャラクターは描きやすいと思うが、微妙な心の揺れを、キャラクター分描いているのがすごい。
なのでいじめが生々しかった。

小学生の時それぞれいろんな思いを持ったまま、高校生になり、また集まる。
こういう思いを持っていると、こうつながって絡まるんだ、と、リアルで辛くなってきた。

将也…過去に梢子をいじめたことが後ろめたく、またいじめられもし人間不信。
梢子…うまくコミュニケーションがとれず自分といると周りが不幸になると思い込んでいる。
なお…将也を好きで梢子がくるまでみんな楽しくやれてたと高校生になっても梢子をいじめる。
川合…おとなしくてなおのそばにいるが強くいじめを止めるわけでなくいつも自分の保身。
長束…高校生で将也にやからから救ってもらい、親友に。将也の過去は知らない。
真柴…いつも川合と一緒にいる男子。害はないが川合を好きなのか、同調する意見ばかり言う。
佐原…小6の時唯一梢子と仲が良かったが、なおたちのいじめによって不登校。高校で再会。
ゆづる…梢子の妹、中学生。母から将也からのいじめを聞かされ、寄せ付けないでいた。不登校

将也の母…息子が人を傷つけたら一緒に謝りに行く常識人。息子の自殺未遂を知って泣く。
梢子の母…梢子をいじめていた将也をビンタし、なおとも取っ組み合いのけんかをする。

梢子のお母さんがちょっと怖いよなー。
いくら小学生の時娘をいじめていたとしても、高校生になった将也をいきなり殴るか?と。
梢子を殴っていたなおにも、無言で殴りに行ったりして。
そりゃ、なおが100%悪いけど、大人なのに言葉も出さず手を出すのがなー。
もともと言葉少なめだからだけど。
梢子のせいで将也の意識が戻っていないときも、将也の母に、ただただ謝って土下座したし。
まぁ謝って土下座するしかなかったのかな、ああいうときは。
辛いな。
その時の将也の母の対応が好きだ…。

「やめてください、きっと息子がまた、梢子さんに何かしたんです…ッ。」

息子が目覚めてないのにこういう対応できるって…!!
声も、ゆきのさつきさんの優しい声だし、ホッとする…。

はー、でもこの映画は、 ただただ悲しい映画というわけじゃない。
悲しくてもがいた後に、希望が待っている。
だから、さいご、将也が涙を流した時、めちゃくちゃ鳥肌が立った…!!
どの人物も生々しく生きていて、人間の恐ろしさと、それでも悪い面ばっかりじゃないよ、と教えてくれる、素晴らしい映画でした。