映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

謝罪の王様

主演:阿部サダヲ

 

黒島という男は、「東京謝罪センター」という謝罪だけで問題を解決させる事務所を開いている。(オフィスはないが)

黒島のもとにセクハラで訴えられた男性、謝罪会見を開かないといけない俳優、など様々な人たちが訪れる。

 

 

久しぶりにこんなイライラする映画観た。

以下、良くない感想ばかりかくので閲覧注意。

 

【ネタバレ】

 

タイトル名とCMの高いテンションからして、無理だろうなとは思っていたものの、出演者や脚本家が有名な方たちだから見てみた。

でもやっぱり駄目だった。

 

少し話ずれるけど私が日本のコメディ映画で大好きなのは、「カメラを止めるな!」。

この映画は一般的にはストーリーの構成力が評価されててそこももちろん見どころなんだけど、コメディとしてなんであそこまで笑えるかと言えば、やっぱりテーマが軽いからだと思う。

「みんなでゾンビ映画を作る」というテーマで、各々のキャラクターにとって、まぁある意味人生はかかってるけど、別に失敗しても深く誰かが傷つくわけじゃない。

だからキャラクターがあほなことしたり失敗したりしたら、「あほやん!!」とげらげら笑っていられる。

 

だけど今日見た「謝罪の王様」では、もうすでに傷ついている人がいる。

傷ついている人がいるから謝ろう、という話になるんだけども、セクハラ謝罪の子芝居、他国への謝罪の土産、すべてにイライラした。

本気で謝る気あるんか?と。

他の国マンタンへ謝るとき、普通本当に、謝らなきゃ!と思っていたら、文化などその国のこといろいろ調べて失礼なことしないのが最低限の礼儀だと思う。

でも土産にこけしを差し出して、マンタンは民族紛争で手足縛られ頭を借り上げられた歴史があるからこけしをみて思い出して怒らせてしまったりとか。

土下座をして謝るが、マンタンで土下座のポーズは「お前は地を這うミミズより価値がない」という侮辱ポーズだったため怒らせてしまったりとか。

マジで誠意なさ過ぎてイライラした。

もちろん一ミリも笑えない。

別にコメディなんだからそこまで深く考えなくていいんだけど、なんかどうしても怒る方のキャラに感情移入してしまってかわいそうに思ってしまう。

 

そもそも主人公の考え方が、「謝罪の仕方」を突き詰めすぎてて嫌。

本当に謝る気があるなら、「なぜ起こってしまったのか」「今後どう対処するのか」ここまで考えてから、「謝罪の仕方」がいきてくるんじゃないの?

でもこの男はほとんど「謝罪の仕方」しか気にしないから最初から好きになれなかったな。

過去エピソードも出て、過去エピソードが終わると主人公は今の仕事を始めたきっかけについてこう語る。

 

「俺は考えたよ。

 俺みたいに、ただ謝ってほしいだけの人間が世の中にはいっぱいいるんじゃないかって。」

 

いやお前が昔ラーメン店員にお湯一滴掛けられたのと、度重なるセクハラのイライラと恐怖、一緒にすんなよって思った。

「謝罪」も事件の大きさによるやん。

 

セクハラのエピソードは、あの謝罪で許してしまう女も女で何考えてるかわからんくて意味わからんかったけどな。

あそこで許してしまったら男また色々しそうじゃないの?

 

ストーリーの構成でいうと、「こことここつながっているのか。」という発見がたくさんあり面白かった。

観れば観るほど色々発見できて楽しいタイプの映画。

まぁもう一度観たいとは思わんけど。