映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

万引き家族

主演:リリー・フランキー

 

嫁、娘、息子、母とぼろ家で暮らす中年の柴田治はいつものように息子と万引きをした帰り道、アパートの外に放り出されてる5歳の女の子を拾って帰る。

嫁には戻して来いといわれるが、「寒いしかわいそうだ」と言いそのままずるずると柴田家になじんでいく…!!

 

【ネタバレ】

 

シーンの派手さはないけどとんでもない設定の家族が織りなす日常とその結末を見た感じ。

エピソードも日常を中心に、さらに役者がみんな用意された「笑顔」「涙」とかではなく本当にその時起こった反応をしている演技だったので、最後まで集中して見れた。

登場人物が少ないというのもあるけど、ちょい役でも役者が豪華すぎてびっくりした。

山田裕貴さんに至っては顔もまともに映ってない役だったし。

 

貧乏だからシーンが常に貧乏くさくて切なくなる…。

花火が近くで上がっても柴田家のぼろ家からは見れずもちろん現地に行くこともなく、音を聞くために家族みんなで縁側に出てきて音だけ楽しむっていう…。

ウナギの匂い嗅いで白ご飯食べるみたいなの思い出した。

 

貧乏でガラが悪くて謎に団結力がある家族って言う設定が少し「パラサイト半地下の家族」とかぶった。

ただ「パラサイト」の方はガチ家族でガチきずながあるけど、「万引き家族」はそれぞれの事情があって各々きずながあると信じてるが実際とても不安定でもろい。

家族は息子を見捨てて逃げようとしていた。

でもそれは、「病院だから衣食住は大丈夫でしょ」と息子の安全を考えたうえでの、「自分たちの身を…!」って感じだった…、と思うのは私の都合のいい解釈かな…。

けど結末の家族ばらばらになった後のみんなの反応見てたらやっぱり「柴田家」に未練ありありで、辛かったな。

 

治はボロアパートに1人暮らしだったが息子が今日は泊ると言った時嬉しそうだった。

妻は警察に「子どもたちになんと呼ばれていたの?」と言われ涙が止まらなかった。

娘はいい身なり(本当の家族の元に帰った?)になってぼろ家の様子のぞいてた。

息子は日帰りの予定で治の部屋に行ったが泊ることにした。

誘拐された女の子は母から教えてもらった数え歌を歌って外を見ていた。

 

辛いなぁ…。

しかもただ未練だけじゃない。

母は「こうありたかった」とか、誘拐された子は「柴田家が楽しかったけど元の家に帰りたいといわなきゃいけない」とか、もっと複雑な感情を抱いているはず。

元旦那から暴力を受けてた母は、「お母さん」になって家族を作りたかったんだろうな。

この家族に知識と金があればもっといい方向へ進んでたと思う。

…だとしたら家族にはなってなかったのか。