『クリスマスの嵐が
吹き荒れる京の都、
巨大な妄想力の他に
何も持たぬ男が無闇に
疾走する。』
公式のあらすじからして
森見臭がプンプンする…。
また京大生の、
むさい5年生が主人公。
笑えるところも
いっぱいあるんやけど、
読むのしんどかった。
森見さんの回りくどい
文が好きだけど、今回はただ
面倒くさい文にしか
感じれなかった。
【再読】
8年くらい前に読んで感じた、森見さん特有の回りくどさ。
確かにデビュー作ということもあってか、ほかの森見作品と比べてもかなり癖は強かった。
回りくどさもだし、1文が長い長い。
でも、読みづらさを感じたのは序盤だけで、結局めちゃくちゃ笑ったな…!!
電車の中やカフェの中、ずっとにやにやしてたまに声出たりした。
面白かったー。
主人公が恋敵の遠藤に、大量のゴキブリ(ゴキブリキューブ)を送り、自室のドアノブにプレゼントがかかっていた時。
主人公が部屋の中でわくわくして袋の中を開けると大量のゴキブリが…!!
部屋中ゴキブリまみれになり、バルサン的なものを焚き、主人公が掃除に入った様子が笑った。
「流し台に置いてあったカップラーメンをのぞいて絶句した。残ったスープ一面にびっしりとゴキブリが浮かんでいるのは、おそらくこれまでの人生で私が見た最も不気味の悪い光景である。よりによってとんこつスープだったために、油脂の膜がねっとりと彼らの死骸に絡みつき、あたかも私が途中までゴキブリスープをすすっていたように見える。」
ゴキブリスープってワードの破壊力よ…!!
主人公に置かれた状況がかわいそうすぎてあほすぎて、笑ったわ。
ヤッパリ面白い小説って、人間の掘り下げ方がうまいなぁとすごく思う。
この作品はギャグが面白いっていうのもあるけど、それはそのキャラクターたちがするからこその面白さ。
プライドが高くて元カノを引きずって飾磨達変な人間とつるんで…。
っていう、あほで、でも主人公もちゃんと生きてきたからこその面白さ。
生きてきた過程が見えるからこそ、キャラクターは生きるんだろうな…。
何を考えてどう決断して、みたいな。
そういえば主人公の友達の高薮って、「宵山万華鏡」の高薮だろうな。
高薮の年齢を考えると、時代は、「太陽の塔」から数年たって、「宵山万華鏡」って感じかな。
私の解釈では、「宵山万華鏡」の高薮は妖怪なんだけど。
「太陽の塔」の高薮に惚れたという美女が、「宵山万華鏡」で高薮の仲間の岬さんだとすれば、納得いく筋ができる。
妖怪になりませんか?という勧誘をするために、とか。
まぁ、森見作品特有の、作品を越えていろいろつながってる設定はとても好き。
たくさん妄想できる。
あと、猫ラーメンも出てきた。
猫でだしを取った絶品ラーメン。
「四畳半神話大系」では、鴨川デルタ近くで出没するとのことだったが、「太陽の塔」では、音だけ聞いて出会えずじまいだったな。
街中を走る叡山電車も、「有頂天家族」の三男が化けたものかと思ったけど、違うのかな。
結局水尾さんの夢の中の叡山電車なのかな。
明かされない設定がところどころあるのも、この人が描くと魅力の一つになる。
解説を書かれた本上まなみさん、自分語りばっかりで気持ち悪くて最後まで読めなかった。
地元が舞台になってうれしいのはわかるが、解説はあんたのブログじゃねーんだよって感じ。