映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

進撃の巨人 The Final Season 76~82話

ジークは野望を叶えるため、エレンとの接触に成功するが、エレンはジークの野望を叶える気はなかった。

エレンは自分の野望を叶えるためジークを利用したにすぎず、その野望を知った一同は、規模のでかさと残虐さに言葉を失う…!

 

 

今回も内容が盛りだくさんでしんどかった…。

でも見る。

続きが気になりすぎて見るの止まらん。

 

【ネタバレ】

 

感想。

結局「進撃の巨人」とは、巨人になれる素質を持つ‟エルディア人”(その中でも思想や派閥は分かれる)VSその素質を持たない‟マーレ人”を描いた戦争漫画なのかなと思う。

アニメ82話まで見た時点では。

 

物語序盤に描かれていた巨人VS人間の戦場になった壁の内も、今や人間VS人間の戦場になってるからな…。

 

エレンの兄ジーク(エレン、ジークともに‟エルディア人”)は、始祖の力で野望をかなえようとしていた。

その野望とは、「‟エルディア人”がいるから争いを生む。今後今いる全‟エルディア人”は生殖能力を失い子を産ませずゆっくり滅んでいく」こと。

が、闇落ちした主人公エレンの野望は違った。

エレンはジークの意見にのったふりをして全然違う野望を持ちながら始祖の力を使おうとしていた。

エレンの野望とは「パラディ島の“エルディア人”を守りたい。だから海より向こうに住む全人類を抹殺する」こと。

これにはジークも目を見開きドン引きである。

ジークの野望もヤバイんやけど…、ジークは誰も殺さないし今いる‟エルディア人”のみで完結する話。

だけどエレンは、壁の中の‟エルディア人”以外、つまり‟マーレ人”も‟東洋人”も壁の外の“エルディア人”もすべての人類の皆殺しを希望している。

規模がでかすぎるし人道的にあり得ない。

が、エレンはもともと壁の外の世界を知らない幼い時から仲間思いな性格で、仲間がやられたら、「やり返す!」という強い反骨精神を持っていた。

そして成長し、力も十分すぎるほどつけ、一人で行動できるまで世界のいろいろを知ってしまい、その反骨精神はただの独裁者と化しただけ。

幾千万の巨人を引き連れ今から人類を滅ぼしに行くエレンを見てると、「少年漫画の主人公とは…?」と困惑するが、渦中であるエレンの同期メンバーもどうしたらいいのかわからない様子。

ジャンは無理やり、「これでいい。」とエレンの思想に賛成する発言をし、自分に言い聞かせる。

頼みの綱はハンジやリヴァイがいないなか、みんなを引っ張っていける頭脳があるアルミンだけど、今の状況はどうしたらいいかわからないっぽい…。

難しい。

とにかくこのアニメ、ハッピーエンドには終わらないな。

 

エレンの行動も悲しいけど、ピクシス指令も悲しかった…。

ピクシス指令とは、壁の補強や警護を務める兵団の最高責任者。

容姿はスキンヘッドのおじいちゃん。

エレン達がまだ新米兵士のころ、エレンは初めてわけもわからず巨人化し周りの人間を驚かせ怖がらせる。

エレンのことを「巨人だ!」と兵たちは殺そうとするが、巨人エレンに通常の巨人たちが群がっていったのを見た同期のアルミンは、「彼は人間です!」と希望を持ち訴える。

が、新米兵士のいうことなんて誰も聞かない。

だけどアルミンの話を聞き、かつアルミンのこれからの作戦も聞き入れてくれたのがピクシス指令。

そんな優しくて柔軟性のあるピクシス司令は…、今回マーレ産の赤ワインを口にしてしまう。

その赤ワインにはジークの骨髄液が入っていた。

ジークの骨髄液を口にした“エルディア人”はジークの「叫び」で巨人化し、ジークの命令のもと動くことになる。

そしてジークは叫び、ピクシス司令を含む赤ワインを飲んだたくさんの“エルディア人”を巨人化した。

エレンの同期たちは巨人たちが仲間だとわかっていても自分の身を守るため倒さなければならない。

巨人の多さに苦戦しながらも、塔の上に巨人を集める作戦をたて、みんなで力をあわせて倒していく。

そこでアルミンが見つけたのがピクシス司令の巨人…。

アルミンは過去のピクシス司令を思い出しながらも、

 

「ここまで僕たちを導いてくれたのは あなたです ゆっくりと… お休みください」

 

と、迷うことなくピクシス司令の巨人を殺す…。

 

…つら。

ピクシス指令は基本的に保守的な考えなので敵が人間と知ってからはたしかに攻めた発想ができずエレンたちと同じ道を歩めなかった。

だけど、基本的に救える人類は今後の人材より人数を優先するという人の命を平等に考える優しい人。

そんな人が、かっこいい死に方や誰かの役に立つ死に方するより、情けない死に方してるほうが衝撃なんよ。

今回はワインを口にした後ワインの正体を知らされてるから自分の身にこれから何が起こるかわかるわけだし、巨人になりたてたころは若干人間の意識あるっぽい。

だからピクシス指令もワインの正体知ってからアルミンに殺されるまで、情けなさと申し訳なさと恐怖でいっぱいだったのかな、と想像するともうまたしんどい。

 

その他にも細かいところで人間関係が絡み合っててしんどかった。

逆に修復された人間関係もあったけど。

でもやっぱり巨人になってわけもわからず好き勝手使われたあと仲間に殺されるのはつらい。

本当に作者よくこんな人間がつらくなるエピソード考え付くなと思ってしまう…。

 

そしてもう主要キャラで、「仲間だから」と殺すのを躊躇する人はいないんだろうな。

躊躇している間に他の仲間が死ぬことを知ってるから。

殺される前に殺さないと。

…もちろん話し合う余地がある人は話し合いに持っていくやろうけど。

 

リヴァイとハンジも心配。

生きてはいるやろうけど、この二人好きなんで活躍してほしい…。