主演:デンゼル・ワシントン
1971年アメリカ、とある高校のアメフト部で、高成績を残す白人のアメフトコーチのビルに代わって、黒人のハーマンがメインコーチをすることに。
ビルを慕っていた白人の生徒たちから反発を食らうが、ハーマンの指導で徐々に白人と黒人の生徒たちは分かり合いだし、試合に臨む…、実話に基づく物語。
【ネタばれ】
言いたいことありすぎて長いです。
見てよかった。
時代は黒人差別がとてもひどいときのアメリカ。
アメフト指導は、オフェンスは主人公の黒人ハーマンが担当、ディフェンスは白人ビルが担当、という風に分けて進んでいく。
しかしメインコーチはハーマン、サブコーチはビル、という上下関係がある。
本当は上層部は黒人のハーマンがしくじるであろうことを見越してメインコーチにしたがハーマンはそのことを知らない。
中盤まで、黒人コーチ、ハーマンが独裁過ぎて全然好きにはなれなかった。
練習でへとへとの選手たちに水を飲まさないとか考え方が古くてかたい…。
その点生徒を長く見てきた白人のビルは、
「厳しい練習としごきは別だ。」
と生徒のことをしっかり思い、ハーマンに注意するが、聞く耳を持たない。
ハーマンは、白人と黒人の生徒たちに、お互いを分かり合えと命令する癖に、ハーマン自身ビルの言葉に耳を傾けないのも、何こいつってなった…。
ハーマンのチームは試合に勝ち進んでいく。
ある日ビルの9歳の娘がハーマンの家に遊びに行ってて、馬鹿な若者たちが、黒人だからという理由でハーマンの家にレンガを投げつけた。
幸いけが人は出なかったが、次の日ハーマンはテレビの記者で、
「バージニア州の警官に守ってもらう必要などまるでない!このレンガを投げ込んだ奴に、いつでも会いに来いと言ってくれ!うちで待ってる!」
と敵を増やすような、周りをあおる発言をする。
そういうことを止めるよう話すビルコーチ。
「なるほど。昨夜のことは俺のせいってことか。」
「違う!選手たちと町の連中にいい手本を示してやれと言ってるだけだ。」
「かゆくならなければかきはしない、音楽が鳴らなければ踊らない、ケンカを売られなきゃ会話しない。ただそれだけのことだ。」
「身勝手なプライドを墓の中までもっていきたければ好きにすればいい。だが俺の娘まで巻き込まれた以上、黙ってはいられない!」
「身勝手?…俺の身勝手さが昨夜の事件を招いたってか?」
「……。」
「シェリルのことは本当に申し訳なく思うが、俺の娘の境遇を少しは想像できただろ?ん?」
「……。」
「これが俺たちの暮らしだ。」
ハーマンがなぜこんなに攻撃的でほかを寄せ付けようとしない性格なのか、わかった気がした。
攻撃しなければやられるから。
白人に。
チームは順調に勝ち進み、学校や近所からの黒人差別もあり苦しいこともあるが、生徒たちのきずなは深くなっていく。
ある日、チームのキャプテンである白人ゲリーが交通事故にあい、下半身不随になってしまった。
手術後面会で呼べるのは家族だけだったが、ゲリーはチームメイトで戦友の、黒人のジュリアスだけを呼んだ。
ジュリアスはゲリーの個室に入っていくと、そばにいた看護婦さんに、面会は家族だけだと注意された。
ゲリーはすかさず言葉を発する。
「アリス、よく見てよ…。…顔がそっくりじゃないか。…兄弟だ。」
「…そうね。」
にっこりして出ていく看護婦さん。
その後、ゲリーは車いす選手としてオリンピックを目指すことを言葉にする。
…ゲリーかっこいいな。
前半、ハーマンたちの高校がやられている。
ディフェンスのビルコーチがうまくやれていなかった。
前半が終わり、生徒やハーマンがいるロッカー内でビルが話す。
「私はおまえたちを教えた以上におまえたちから教えられたよ。…見た目じゃなく魂を信じろと。町の人たちも学ばされた。私もそろそろ目を、覚ましていいころだ。ハーマン!力を貸してくれ。」
ディフェンス担当のビルが、オフェンス担当のハーマンの助言をもらい、作戦を変更していく。
そして見事優勝する。
とてもよかった…。
エンディングで実際の登場人物たちのその後が語られる。
「ハーマン・ブーンはその後、5年間コーチを続けた。現在は引退してアレキサンドリアに在住している。
ビル・ヨーストは、1990年にコーチをやめ、引退。2人の友情は現在も続いている。
ゲリー・バーティアは、障がい者たちの心の支えとなっていたが、1981年、飲酒運転の車と衝突。他界した。
ジュリアスは1971年、全米選抜に選ばれた。ゲリーとの友情も続いた。」
ゲリー若くして死んだの悲しすぎる…。
いい人が若くして死ぬのほんまざんねん。
内容が重かったけど見てよかったです。
私はずっと日本にいるし黒人としゃべったこともないので毎回こういう話題にはピンとこないんだけど、やっぱり肌の色差別は根深いんだな…。
今回、この映画に出てくる白人たちは黒人に対して一歩を踏み出した感じなんだろう。
この映画が終わった時点ではまだ上下関係は取れていないように思う。
ゲリーの、「顔がそっくり」発言とかかっこいいんだけど、結局これって上にいる人が下の人を思いやっての発言なんですよね…。
白人女性が黒人の生徒に握手をし返したシーンとかも、し返してあげた、という風にとらえてしまう。
だから、この映画でようやく一歩踏み出したから、その先に、「平等」があればいいのかなと思った。
内容濃かったし、役者の演技が全員すごすぎて入り込んでしまった。
アメフトの試合中や作戦タイムの掛け合いなど迫力がやばすぎた。
本物の選手や監督みたいだった。