バンクス家に風に乗ってやってきた
乳母メアリー・ポピンズ、
彼女といる子供たちジェインとマイケルは、
不思議なことに巻き込まれ…!!
【ネタバレ】
ディズニー映画の「メリー・ポピンズ」の原作。
映画や舞台と違うところがいっぱいあったな。
舞台にあった、言葉を売るコリーさんのお店、
が気になり原作を読むきっかけに
なったのですが、コリーさんのお店は、
娘の巨女たちとジンジャー・パンを売っていた…。
当然映画や舞台でもあった、
「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリ
ドーシャス」という
意味のない言葉は存在しないし、
仕事人間のバンクスさんや
煙突掃除のバートのキャラクターも
ほとんど掘り下げられていなかった。
あとはメアリーのキャラクターがな…。
乳母にしたら怖すぎて…。
恐怖政治というか、
子どものジェインとマイケルは常に
メアリーの顔色をうかがいながら生活をしてる
っていうのが気になった。
だから、マイケルが、
6話で、心がもやもやして
女中や妹たちにいたずらをしたのも、
普段メアリーに
抑えつけられてるからじゃないのって思う。
メアリーの恐ろしさを晴らすため。
ほかのキャラクターたちから
メアリーは好かれているみたいだけど、
なぜあそこまで好かれているのか
よくわからない。
疑問を聞いても教えてくれないし。
子どもの疑問をぴしゃりと押さえつけるのって、
教育上よくない気がするんだが…。
だけど、児童ファンタジーとしては
やはり素敵だった…!!
ジンジャー・パンについていた
紙の星を空に張り付けたり、
角に刺さった星が原因で
踊ることをやめられない牝牛が
月を飛び越えて踊るのをやめれたり、
とかいう脈絡のないファンタジー。
「不思議の国のアリス」みたいな。
伏線とかないけど、読んでるとわくわくする。
子どもの妄想に近いというか。
ジンジャー・パン、食べてみたいなぁ。
お話としては、9章の、
『ジョンとバーバラの話』が好き…!!
今まで赤ちゃんとして扱われ
どういうキャラクターか掘り下げられなかった
双子のジョンとバーバラが
話すところから始まる。
最初、誰が話しているのかわからなかった。
しかし双子たちは、
お日様やムクドリとも話し出す…!!
ジョンは少し意地悪で、バーバラは優しい子。
どうやら赤ちゃんは、
お日様や風や人間以外の生き物たちと
話せる模様。
メアリーは特別で、大人になっても、
すべての生き物の言葉がわかる、と。
いずれお日様たちの言葉が
わからなくなるなんて、
と悲しくなって泣き出す双子…。
切なかったな…!!
大事なものもいつか忘れてしまうんだろうか、
と、大切なメッセージのこもった話として
受け取った。
子どもの時の純粋なわくわくとか、
小さな悲しみとか、
大人になると全体的なことが見えてくるから、
「なんでそんなこと…。」と思ってしまえるけど、
子どもは子どもの世界で、
小さいけれど、大切な感情や出来事。
だからこの本の、
脈絡のないファンタジーって大切な気がする。
そこに理由を求めてしまったら、
大人の意見というか。
子どもがよんでも、
なんで?と思うシーンはいっぱいあると思うが、
そんなこ難しいことを考えて
読む物語ではないんだな、と。
そうなっているからそうなんです、と、
目の前の出来事をメアリーに聞いたら、
つんと怒られてしまいそうや。
というわけで、
メアリーののキャラクターを除けば、
とても楽しいものがたりでした。
「ウォルト・ディズニーの約束」という
「メリー・ポピンズ」制作秘話の映画でも
作者怖かったしな。
原作メアリーの人のようだった。
でもこういう話を書かれるから、
子どものわくわくを楽しめる
大人なのだとは思う…。