東京へ出て行ったやんちゃな小娘ナスミががんを患って故郷の田舎へ戻り、43歳の若さで亡くなった。
ナスミの死を通じて、姉のたか子、妹の月美、旦那の日出夫、父のおばの笑子ばあさんたちが日常にナスミを感じていく…、連続短編集。
【ネタばれ】
以前NHKで放送していたドラマ「富士ファミリー」と登場人物と設定が一緒の小説。
「富士ファミリー」では死んだナスミが幽霊になってて、笑子やたか子たち家族が中心のコメディが入ったドラマだった。
↓↓以前描いた笑子と日出夫の好きなやり取り。
人生ってこんなもんよなっていうキラキラしてないシーンが多くて安心する。
その後制作された本作では、死んだナスミ中心の割と重くてでも暖かい話だった。
死ぬこと、生きること、についてジンワリ考えさせられたな。
ナスミが死んで4年後、旦那の日出夫は愛子という女性と結婚し、光という女の子ができる。
最終章は、その光が63歳になっているところから始まる。
光が63歳で、愛子は老人ホームでほぼ寝たきり、ということは当然笑子もたか子も月美も日出夫も死んでいる…。
今まで当然のようにこの物語の世界の中で動いていたキャラクターたちがみんな死んでいるのである…。
そりゃでも、そうよな…。
光が63歳ということは、エピソードが省かれているだけでそれだけの歳月が過ぎたということだから。
私がいま生きていることもそう。
私は入園前、親にどの幼稚園に行きたいかと連れまわされ3つのうち一番ぼろい幼稚園を選んだ。
そこではみんなと竹馬で競争し、ドレスを着て踊り、虫を捕まえて遊んだ。
あれから約30年…。
マジで一瞬…。
マジで一瞬で30代になる…。
あのころの記憶はすぐ開示できるけど、しらんまにこの年やもんなぁ。
未来もきっとそう。
根本の性格は変わらないまましらんまに30年たって死を迎える。
死を迎えるときはナスミみたいに静かに受け入れるような感じなのかな…。
そうだとありがたいけど。
とにかく、この本を読んで改めて、自分が生きてることって大きな流れの一部だよなと思った。
人生は自分中心だけど、私の命自体は流れの一部みたいなもの。
だから私がいま仕事で恥をかこうが家事をうまくやれなくて病んでようが、この大きな流れからみるとゴミカスにすら満たない悩みだな、と。
だからもっと前向きな感じで生きていけたらいいよな。
まぁそんな感想を抱いた「さざなみのよる」でした。
▼NHKドラマ「富士ファミリー」感想
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▼NHKドラマ「富士ファミリー 2017」(続編)感想misaki57754655.hatenadiary.com