映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

すいか<1>

木皿泉

信用金庫に勤める34歳の基子、
年齢不詳の大学教授夏子、
27歳のエロ漫画家絆、
父に押し付けられて管理人をしてる20歳のゆか、
女四人でボロアパート、
「ハピネス三茶」に住む…!!

連続ドラマだったものの、シナリオ本の前編。
『めがね』・『かもめ食堂』の原型、
と言われてる割には、
各登場人物が何に悩んでるのかがわかり、
この三作の中では一番好きかな。
本心では馬場のように自由になりたいが、
誰よりも数字にとらわれ、
世間体を気にする基子が、
長年ためてた100円貯金を
ストリートミュージシャンに寄付するシーンは、
一つ殻を破った感じで、すごく共感した。

何気ない日常を描いてるが、

生沢「それよりも、仕事は、誰とするか。
    それが大事なの」
基子「そうでしょうか」
生沢「内容だと思ってるんだ?」
基子「違うんですか?」
生沢「飛行機のパイロットより、
    宇宙飛行士がえらいとか、
    そういうこと、本気で思ってるんだ」
基子「まぁ、そういうことかな」
生沢「順序があるんだ、
    早川さんの中に、くっきりと」
基子「え?うん、まぁ」
生沢「信用金庫のOLは、どれぐらいなんですか?
    お豆腐屋さんより上ですか?下ですか?」
基子「私は、何も、自分の仕事がえらいとか、
    えらくないとか、思ってないし」
生沢「思ってますよ。
    明らかに思ってるじゃないですか。
    それ、つまんないでしょう?
    ものすごく尊敬する人とか、
    おもしろい人とか、
    そういう人がいる職場が、最高でしょ。
    やっぱり」

とか、生きる上で大事なことを
さりげなく教えてくれるドラマ。