京都市の下賀茂神社を住みかとする矢三郎は人間界にも天狗界にも首を突っ込む阿呆な狸。
人間界の「金曜倶楽部」という組織は毎年忘年会に狸鍋を食べるため、数年前矢三郎の父がその餌食に、今年は矢三郎がその餌食になろうとしていて…!
面白かった。
小説では京都の町の様子の描写がとても細かかったけど、アニメも小説に負けないくらい背景や小物を細かく描いてくれていた。
だから京都市内の空気感がとても伝わってきた。
夜、商店街の上のアーケードを、天狗の弁天に引っ張られて矢三郎と人間のおじさん淀川先生の3人が歩いていくのいいな。
3人が歩くアーケードの上やビルの屋上は当たり前だけど誰もおらず、静かで暗くて月明かりがあって風情がある。
淀川先生が来る前、弁天と矢三郎が二人の時、弁天がふいにビルの上から垂れているひもを引っ張って頭上の小窓からおじさんがワインをおろしてくるシーンがとても好き。
あんな場所でワイン頼むとか相当変な常連でないと無理だし、つまりファンタジー感があっていい。
「金曜倶楽部」に所属する京大の教授、淀川先生の狸愛も面白い。
狸好きなら狸鍋を食べなければいいのに、という感じだけど、狸食べちゃいたいくらい愛してる、は意味わからん。
笑えるけど矢三郎にとったら笑い話じゃなくて、でも結局淀川先生の人柄を知るうちに好きになってしまう。
淀川先生の、マイペースに好きに生きてる感じがいいな。
好奇心のままに動くところとかちょっと自分と似てる、とも思ったんだろうな矢三郎。
淀川先生は狸が好きな結果、人間界の中でも謎めいた組織「金曜俱楽部」に入り、天狗の弁天に連れられ飛行しながら京都の町を散歩する。
何も知らない酔ってる淀川先生にとったら現実味はなかっただろうけど、楽しそうな人生送ってるよな、とおもう。
▼小説の感想
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