映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

ソーイング・ビー2 7~12話

裁縫得意なアマチュアの中から、ナンバー1を決めるイギリスのドキュメント番組。
シリーズも折り返し、ついに優勝が決まる。

【ネタバレ】

やっぱりここに出てる人みんな優しいから、こんなに惹かれる番組になるんだろうな。
課題中、対戦者が困っていれば、迷わずみんな助ける。
私が今まで見てきたこういう対決ものでは、相手が困っていれば、「しめた」と思い助ける人はいなかった。
個人戦だから当たり前だけど。
でも、この番組では、対戦者同士が助け合うのは当然だし、見回りに来た審査員も、「こうした方がいいんじゃないか?」とアドバイスをくれる。
こういうやり取りがとても素敵。

勝戦で、型紙通りに服を作らないといけない課題。
決勝ということもあり、指示書が今までより不親切で、型紙をどう使っていいのかわからずてこずっていたおばさまのローナ。
そこでもう2人の男性対戦者、マットとニールがローナを助ける。
ある程度教え、その後それぞれ自分の持ち場に戻った2人は、こう語る。

ニール「ローナには、助けてもらったことがあるんだ。型紙で悩んでいないで、いつもの見事な技を見せてほしいね。」

マット「誰かが困っていたら、当然助ける。僕はただ、公平に審査してもらえればいい。」

そして時間がきて、型紙課題の審査。
3位マット、2位ローナ、1位ニール。
謙虚なおばさまのローナは、2位をくれてほめてくれている審査員に言う。

「私、2位の資格ないわ。マットのおかげだもの。」

さらに審査が終わった直後のインタビューでも、

「2位は、マットでなきゃ。ニールと一緒に助けてくれた。2人がいなきゃあの服は縫えなかったわ。」

と答える謙虚さ…。


シリーズを見終え、選手たちのその後をネットで探す。
ローナは、残念ながら闘病の末、亡くなっているらしい。
スタイルよくてセンスよくて謙虚、本当に魅力的なおばさま。
見た目もっときつい人かと思っていたけど。
とても素敵な女性だ。

ライアンとデボラが、放送当時25・26歳と若いのびっくりした。
ライアンは若そうだっけど、デボラもそんなに若かったんだ。

みんな一生懸命で謙虚で、本当に素晴らしい番組だった。

ソーイング・ビー2 1~6話

イギリス中の、アマチュアの裁縫自慢が集まり、チャンピオンを決めるため、コンテストを行う。
課題をこなし、脱落者が決められ、残った選手でまた課題をこなし、脱落者が決められる…!!


超面白い!!
正月特番で夜中のNHKで一挙放送して、一気見してる。
最初は10人ほどで始まって、みんな本当に裁縫が好きなのが伝わってくるし、謙虚な人ばっかりだから、登場人物にも好感持てる。
老若男女関係ないのもいい。
みんな残ってほしいと応援してしまう。

審査をする服飾のプロ二人と、テレビ関係者っぽい女性も、選手たちに対して愛があって好き。
毒舌も多いけど。

マチュアと思えないレベル。
3時間でワンピースとか作れるものなのか…?
本当に、熱中するものがあるって素敵すぎる。
みんな人生豊かそう。
毎年9月にしてる鳥人間コンテスト思い出した。


スマホを落としただけなのに

主演:北川景子

スマホをタクシーの中に落としてしまった麻美の彼氏の富田。
スマホは富田のもとへ返ってきたが、拾った人物によって個人情報をすべて抜き取られ、麻美と富田は心身共に追い詰められていく…!!



【ネタバレ】

スマホを落としただけなのに」というタイトルがもう天才。
ゴロがいいし、わざと文章を途中で切ってるところが、謎めいてて魅力的。

ただただ怖かった。
簡単にしらないサイトにアクセスするのも、よくしらない人を信じるのもいけないなと思った。
まず疑う、そして相談。

麻美の過去に驚いた。
本当にこういう人いるんかな。
どこかには、いるんだろうな。
麻美のすべてを受け止めてくれる富田は、いい男。

犯人と、若手刑事?の過去がとても気になる。

犬夜叉 完結編 13~最終話

奈落を追って、犬夜叉殺生丸、かごめたちは奈落の体内へ入って、最終対決をする。
そして四魂の玉との対決で、かごめが最終的に望んだことは…。


【ネタバレ】

最終対決。
リンと珊瑚のくだり、漫画を読んだ後、胸が締め付けられたのを覚えてる。
珊瑚は、愛する弥勒のために無関係な女の子リンごと奈落を殺そうとする。
タイミングが良く奈落の幻が解けてリンを殺さずに済むが、珊瑚は後悔し、毒を防ぐマスクをリンに差し出して自分を犠牲にする。
犬夜叉」は、こういう人間の弱さが出るところが好き。
珊瑚だって葛藤するから、切なくなる。
やはり奈落は桔梗を好きなだけあって、人間がどういうときに弱くなるかわかってる。

奈落の体内の中での戦うシーン全体的に、人物のアップが多く、変な間が多くてテンポ悪く感じた。
けど、奈落を倒し終わった後、四魂の玉エピソードからのテンポの良さは好き。

3年後の鋼牙とジネンジの登場はたぶんオリジナル。
再登場嬉しかった。

鬼滅の刃

家族を殺され唯一生き残った妹ねず子は鬼になってしまった、15歳の少年かまど炭治郎。
炭治郎はねず子を人間に戻すべく、鬼殺隊に入って鬼無辻無残を探す…!!


初期の情けない善逸が好き。
クモ鬼の毒にやられて、戦おうとせずに木に登ってめそめそ涙する善逸に共感。

(俺は、俺が一番自分のこと好きじゃない。ちゃんとやらなきゃっていつも思うのに、おびえるし、逃げるし、泣きますし。変わりたい…。ちゃんとした人間になりたい…!!)

(誰かの役に立ったり、一生に一人でいいから誰かを守り抜いて幸せにする、ささやかな未来ですら、誰も望んではくれない…!!一度失敗して泣いたり逃げたりすると、ああこいつはだめだってはなれてく。)

善逸は、炭治郎と違って両親の愛情がない分卑屈な考え方をしてるんだろうな。
おじいちゃん(師匠)の愛情は受け取っているけど。

あと胡蝶しのぶ、かっこよくて好き。

絵がきれいだし、無限城編をアニメ化してほしい。



翔んで埼玉

主演:GACKT

昔から東京都民から迫害を受けてきた埼玉県民。
アメリカから帰国したというレイは、埼玉県民を解放するためほかの県民と争いながらも協力し、策を立てていく。

【ネタバレ】

私の記憶でが、埼玉と神奈川がごっちゃになっていたので、勉強になって良かった。
埼玉は東京の北にあり、神奈川より格下で、海がない、と。
映画観終わった後、結局一番好感度低いのは神奈川県な気がする。
東京より格下でありながら、東京をよいしょするという県…。
埼玉と千葉は、東京・神奈川より格下でありながらも、自分の県に誇りをもって東京に立ち向かっていた。
都知事の息子にも、「うらやましい」と言わせてた。

終わり方が宗教っぽくなってて怖かった。
あれだけ東京にあこがれていた女の子が、普通に埼玉の支配下になってよくわからなかった。

麻生久美子さんがすごくかわいかったな。
口が悪い麻生久美子さん観れてよかった。

ED、はなわさんの歌とても楽しかった。

ジョン・レノン、ニューヨーク

イギリスのバンド「ビートルズ」が解散して、ボーカルのジョン・レノンは、妻のオノ・ヨーコとニューヨークに移り住むことにする。
ニューヨーク・ロサンゼルス時代のジョン・レノンにゆかりのある人たちにインタビューし、たくさんの音楽と過去映像で編集された映画。


ジョン・レノンをほぼ知らなかったけど、芸術にいきた人間だと思った。
音楽を生み出し、それで仲間ができ、平和活動をした。
自由でかっこいい。
しかし、その分、お酒や薬をやめられなかったらしい。
天才的なアーティストで売れっ子でも、本当は、そんなに幸せじゃなかったのかな。

妻のオノ・ヨーコとよりを戻して、息子のショーンと暮らしてから、調子は良くなったみたい。
どんな人でも、刺激的な人生が続くとしんどいのかもしれん。


ブッタとシッタカブッタ③

小泉吉宏

読むとちょっと人生が

楽になる漫画本。

奥深くて理解できんとこも

あるけど、生きるのが

楽になる考え方や言葉が

いっぱい載ってる。

「自分の生き方にも

自分にも自信のないブタは

威張ってみたり自分を

よく見せることに躍起になる

自分の生き方と自分に

自信のあるブタは他のブタが

自分をどう見ているか

気にすることはない」

って言葉が好き。

漫画やから読みやすいし。

他のシリーズも読みたい!!

【再読】

メンタルがどうしてもいかれだしたら読んだ方が良い本。

シリーズは③だけど、別にどこから読んでも大丈夫。

哲学的で、ある意味気取った本かもしれないけど、私にとったら押しつけがましくなく、生き方についてさりげなく教えてくれるイメージ。

4コマだからすぐ読めるし豚たちの掛け合いが面白い。

■すがりついてない?

「多くの豚はたった一人だと不安なので 誰かや何かにすがりつく

 学歴や成績にすがりつく 恋人にすがりつく 家にすがりつく 神様にすがりつく

 お金にすがりつく 会社にすがりつく 肩書きにすがりつく 道徳にすがりつく」

『あいつを部長の座から引きずり降ろしてやる』

「すがりつくことでかえって葛藤を引き起こしているような気がするなぁ…」

■作り物の安心でなく

「本当に自分とは何かと問うて頭に浮かぶ『言葉による答え』は 作り物の安心だよ

 心は本来不安定なものだ その心が提供する答えで安心しているからまたすぐ不安に振り回されるのだ

 答えを探すんじゃなくて 肩書きやら形容詞やら知識やらを引っ張り出すのではなくて」

〈明るい〉〈太い〉〈ハンサム〉

「『自分』を見なさい」

『自分』…。

私は、『自分』という人間の外側にあるもの。

つまり夢とか周りからのイメージとか、そういうのをはいでいったら何になるんだろと思った。

意外と何もないかもしれない。

何もないということは、結局周りからの視線を大事に生きてる証拠…。

まっさらになった時、私は絵を描きたいのか、歌を歌いたいのか。

どれも、違う気がする。

絵も歌も、うまくなってほめられたいという欲があるし。

ただ私は、本に囲まれてすごしていたいのかもしれない。

以前すごく疲れていた時に、おしゃれな本屋に入った時、一瞬で疲れが吹き飛んでしまった。

他人とか自分とか関係なく、本当的に本に囲まれた空間で癒されたというか。

だから、私の外の皮をはいでいったら、ただただおしゃれな本屋の空間が好き、になる。

違うかな、この本の言いたいことって。

私はこの本を読んで自分をそう見つめた。

鬼滅の刃 無限列車編

妹のねず子が鬼になり、ねず子を人間に戻すために鬼殺隊に入った15歳の少年、かまど炭治郎。
任務で列車に乗っていくことになるが、その列車がすでに鬼に支配されており…!!





日本の映画、興行収入第2位としてみると、微妙だった…。
コナンの映画みたいに冒頭に簡単なあらすじがあるわけでなく、初心者の置いてけぼり感がすごいと思う。
正直私は、これが「タイタニック」以上「千と千尋の神隠し」以下か、と思ってしまった…。


【ネタバレ】

ストーリーの規模もなんか、列車内で終わってしまう物語なので、小さく感じた…!!
列車という限られた空間を舞台にするなら、時間制限という設定があったほうがドキドキしたのに、とか。
漫画での無限列車編は漫画の流れの中の一部だからいいんだけど、映画はやっぱり、約2時間という時間があるから、いろいろつめてメリハリを増やしてほしかったというのが本音。
まぁ原作を忠実に再現するしかないんだろうけど。
そもそも、夢の中と鬼とのバトルがメインの話だから、あまり映画向きではないんじゃないかな。
あかざとか蛇足でしかないし。
長編漫画という規模で見たらもちろん意味のある登場だけど、映画だけ観たら、煉獄を殺すためだけに出てきたキャラクター。
あと、炭治郎の夢、めっちゃ長く感じたな…。
ストーリー進まん感やたらあった。

とはいえ、「鬼滅の刃」漫画ファンからしたら、とても満足な映画だった。
”映画として全国民が楽しめるか”っていう部分で、すごく否定するけど、ファンにはよかった。

1番良かったのが、夢から覚める際の、善逸と伊之助のかっこよさ!
列車内ピンチだどうしようっていうときに、暴れだす二人の演出がとてもとてもよかった…!!
特に善逸のスピード感は、アニメだからこその迫力!!
善逸のかっこよさ100%引き出されていた。

炭治郎がリアル世界で自決しようとしたとき、伊之助が止めるシーンが原作で好きだけど、そこもきちんとあって良かった。

炭治郎と伊之助の声優がすごかったな。
後半叫びすぎて何言ってるか聞き取れなかったところいくつかあったけど、それだけ魂のこもった叫びをしていた。
必死感が伝わってきて、引き込まれてしまった…!!

あと、本当に絵のクオリティが高かった。
アニメとして演出のクオリティももちろん、冒頭のお館様夫婦が歩いているお墓の背景、写真みたいにきれいだった…!!

本当に、観てよかった。

けど、興行収入(略)

約束のネバーランド ~ノーマンからの手紙~

孤児院で暮らしている11歳のエマ、ノーマン、レイ。
孤児院で暮らすみんな里親に引きとられることを夢見ているが、里親などおらず、孤児院を出るということは、人食い鬼のえさとして出荷されるということだった…!!


【ネタバレ】

ジャンプで連載している漫画の小説版。
ノーマンは今夜出荷されるため、その日のお昼の自由時間にみんなより先に脱獄する計画だったが、ノーマンは自分を犠牲にし、自由時間にエマに手紙を書いていた。
みんなが無事に脱獄できるようにするための計画、一緒に脱獄を計画していたレイが今後とるであろう行動…。
手紙を書いている最中、ノーマンは施設での出来事を振り返る。

4章に分かれて、4歳、7歳、9歳、11歳、と短編の物語が描かれている。

1,GFハウス幽霊騒動
2,エマが泣いた日
3,鳥籠の中のNER
4.39人目の女の子からの贈り物

タイトルがもうセンスありすぎて…。
特に3.4に関しては読み終わった後、「そういう意味か!」となる。
読み終わった後に、また別の意味を持つタイトルってすごく好き。

楽しくて読みごたえがあったのは、1だけど、いろいろ考えたのは、3,4。

3話目、9歳のノーマン達には、スーザンという、活発で面倒見のいい11歳の姉がいた。
レイだけは孤児院の正体を知っているため、里親に引き取られる兄妹たちを見送っては、次の日に落ち込んでいた、らしい。
本人はもちろん表に出しているつもりはないけど。
スーザンだけは、ノーマンやエマでも気づかないくらいのレイの気分の落ち込みに気が付く。
レイの落ち込みを見ては、自由時間に無理やり遊びに誘う。
レイは、うっとうしいと思いながらも本当はスーザンの気づかいにとても救われていた。
そんなスーザンが、出荷される日がきた。
レイは自分の感情を押し殺し、これからの生活に心躍らせて孤児院から出ていくスーザンを見送った。
スーザンを見送ってしばらくしてから、何も知らないエマとノーマンをよそに、レイは考える。

「きっと今頃スーザンは”鬼”の餌食になっている。ずっと一緒に暮らしてきた姉はもうこの世にいない。それなのに、自分はいつも通りの会話をし、また日常に戻ろうとしている。
(それで、いいんだ…。)」

レイは、いつか来るエマとノーマンとの脱獄に備え、自分を無理やり納得させる…!!

…切なかったな。
漫画は展開がメインでなかなかキャラクターの心情が描かれていることが少ないので、レイの葛藤が描かれた小説を読めてとてもよかった。
子どものレイが背負ってきた背景は重すぎる…。

そして4話。
孤児院一賢いノーマンがみんなに騙される話。
重くなくとても平和な話で、ノーマンのエマに対する恋心も少しふれられる。
漫画でも、エマ、ノーマン、レイの関係について、強いきずなで結ばれているのはわかっていた。
が、エマを好きなノーマンの気持ちを掘られることはなかったので、気持ちを知れてよかった。

4話では、ハウスに出た謎の女の子をノーマンが突き止める話になっている。
あまりにも必死に探すノーマンに、ノーマンの好きな相手など知る由もないレイが聞いた。

「『ノーマンさ、その”女の子”のこと』
『いや、違うよ。僕は』
『まだ何も言ってねーし』
目に見えて狼狽しているノーマンに、レイはからかうように言ってその場を立ち去った。
『はぁ……もう』
ノーマンは口を押さえた。危うく自分が口走りそうになった言葉を思い、内心冷や汗をかいた。ため息混じりに小さくつぶやく。
『……僕の好きな子は、違うよ』」

…ノーマン可愛すぎる。
ノーマンはレイと並ぶくらい冷静沈着なので、焦っているというだけでも可愛いのに、その焦りの原因がエマに対する恋心だと思うと尚更可愛い。

とても良いノベライズでした。