作者:森見登美彦
小学4年生のアオヤマ君はえらい大人になるために毎日勉強をしていろんな経験をして、昨日の自分を上回ろうと日々努力する。
ある日自分の街にペンギンが現れ、いつもよくいく歯医者さんに務めるお姉さんがコーラのカンでペンギンを生み出すことを知る…!
【ネタバレ】
難しかったな…。
アニメで見たときはお父さん幽霊説感じたけど、原作ではそれはない感じ。
ちゃんと家族の中で生きていた。
解説の萩尾望都さんがおっしゃっているように、アオヤマ君のようなキャラクター像は初めてかも。
ませてて何事も分析家で、涙も見せない。
でも冷たいわけではなく、優しくて純粋。
だからこそスズキ君には生意気に映っていじめがヒートアップしたりしたんだろうな。
でもそれすらアオヤマ君は感情で受け止めるのではなく分析し、堂々とした態度でスズキ君に接していた。
ただ恋心はアオヤマ君の中で分析できなかったらしく、ハマモトさんの気持ちや、なぜ自分がスズキ君からいじめられているのかはわからなかったよう。
まあわかっても淡々と処理しようとしてたから、普通のおませな小学生よりもっと斜め上を行くキャラクターだった。
友達のウチダ君に、スズキ君にいじめられても怒らないんだねと言われて、
「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ。」
と言い、ウチダ君がそういうことを考えるのはあまりよくないのではというと、
「ずっと考えているわけではないよ。毎日ほんの30分ぐらいだから。」
と返してたシーンが好き。
最後お姉さんとお別れのところ切なかった。
お姉さんはおそらく「海」などの現象の一部なので、おそらくもう会えないし、万が一会えるとしたら世界が変なことになった時なんじゃないかな。
アオヤマ君もたぶんそれを知っているけど、お姉さんに会った時のために日々の努力は怠らない。
さらに、お姉さんをどれだけ大好きだったか、どれだけ会いたかったか、を伝えたいとのこと。
けなげでかわいいな。