映画・小説の感想棚

映画、小説、アニメなどの感想。作品によって文章量はまちまち。土日正午を中心とした不定期更新。

ポジティブ心理学の挑戦

ポジティブな気持ちがあれば、人や社会に大きな良い影響を与えるということを唱えた本。




頭で前向きになりたくて購入。
あらすじをなんて書いたらいいのかわからなかった。

・うつになっていても小さなことでいいから今日一日良かったことを3つ書くこと
・家族や友達や恋人、誰か大切な人にいきなり感謝の手紙を書いて渡すこと

この本の作者のうつ診療のメニューではこういうことが組み込まれ、実際うつが軽減した患者もたくさんいると数字にして出していた。
このメニューは重度のうつ病患者にも効くらしい。

本の最後には自分の強みがわかる診断テストもついていて、面白かった。
私は、感謝とかの欄が高くて、リーダーシップの欄が低かった。
この強みテスト、就活の面接や職歴にめっちゃ活かせると思った。

月夜とめがね

夜遅くまで針仕事をしていた目が悪いおばあさん。
そんな夜中にメガネ売りが訪ねてきて…!




とってもおしゃれな本!
「月夜とめがね」という物語は、小川未明という人が書いた、随分昔からある物語。
私が読んだ「月夜とめがね」は、その物語にイラストレーターのげみさんがイラストを載せたもの。
装丁からもうときめく。
げみさんの静かできれいなイラストが、夜の情景や、琥珀のメガネによくあっていた。

文章では髪の長い女の子とあったけど、イラストはおかっぱだった。
その違和感を超えるくらい、げみさんのイラストは「月夜とめがね」の物語の魅力を引き出してたと思う。

クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ4人の勇者

地球の子どもたちの自由な落書きによってパワーをもらい空に浮いている島、ラクガキングダム。
近年落書きをする子どもたちが減り、ラクガキングダムは、崩壊の危機に立たされていた。


【ネタバレ】

アホなノリがクレヨンしんちゃんで面白かった。
出番少なかったけど、まさおくんは何してても面白い。

序盤は、大人帝国のような不気味さがあってよかった。
自由な発想を持たない大人たちは、ラクガキングダムの連中からはなから落書きさせてもらえず、壁に貼り付けにされるところ。
大人たちがいなくなり、延々と子どもたちだけが落書きさせられる世界の恐怖。
でも面白かったのはこのへんまで。

大人帝国のときは、大人がいなくなった世界でしんちゃんが、「トーチャンカーチャンを助けて今を生きる!」という強い意志を持って動いていたから、観てる方は感動した。
しかし今回のしんちゃんは、たまたま貼り付けにされているナナコお姉さんを見て、「助ける!」とふわっと意思を持つ。
でも仲間が増えたり、仲間の親子関係が描かれたりして、しんちゃんも一瞬ナナコお姉さんを助けることを忘れてた。
そこがやっぱり違うな。
グッとくる映画とこない映画。
しんちゃんの掛け合いとして見る分には面白かったけど、それやったら焼き肉やB級のほうが笑えたし…。

どうしても未だにしんちゃん映画は期待してしまうから、だいたいがっかりしてしまう。

シン・ゴジラ

主演:長谷川博已

東京湾に突如現れた謎の巨大生物、東京に上陸し、人や街を次々壊していく。
内閣官房副長官である矢口は、国民の安全を優先に判断・行動を起こすが、日本の政府はなかなか矢口の判断を受け入れなくて…!!


【ネタバレ】

一番の印象は、とてもリアルだったこと。
ゴジラや破壊された東京の街のCGがリアルだったし、人間の動きもとてもリアルだった。
命がけで逃げ惑う一般の人々と、会議室でもめている官僚たちの、温度差。
すでにたくさんの犠牲者が出ていて、自衛隊を動かすのに総理の許可がいるってなった時、判断を迫られた総理は、「憲法〇条が…。」と渋るとことか。
後は、会議室でもめつつも、国民を安心させるために会見を開かないといけない。
会見では何を言おう、とか。
なんか、災害の時に決断が遅かった時も、こういうことが起こっていたのかな、と、政治事情全然知らないのにリアルに感じた。
観終わった後調べると、監督の庵野さんは、東日本大震災の時の枝野官房長官に取材に行っていたとか。
さすが、こだわりがすごい…!!
だからこそ、ゴジラというファンタジーな生き物が登場する世界観でも、このリアルさなんだな。
それに、即決の海外政府と違い、丁寧に決断を重ねるところが日本政府独特なので、そこもまた「シン・ゴジラ」のセンス感じた。
日本を皮肉って作られているけど、これが海外が舞台だったら、この「シン・ゴジラ」の展開にはならない。
もっと熱く、賢い展開になったと思う。
 
監督が庵野さんとしって思ったけど、映画の中で出てくる肩書きのフォントが、「エヴァンゲリオン」のタイトル?のフォントにそっくりだと思った。
あと、「~作戦」とか、「エヴァンゲリオン」っぽい。
あんま詳しくないけど…。

中盤の、東京の真ん中でゴジラ放射線と炎を発射するシーンすごい迫力だった…!!
ある意味映画館じゃなくてよかった。
長いシーンで、とても大事に撮影されていた印象。

前半で、ごちゃごちゃしつつもそれぞれの正義で戦っていた、総理と大臣たち、その中盤のゴジラの犠牲者になる…。
計11名の死亡は衝撃だった…!!
日本の体裁を守ろうとする人もいたけど、国民の安全を第一に考えていた人もいたから、ショックだった。

ゴジラ解析チーム、主要メンバーはみんな残っていてホッとした。
大好きな市川実日子さんが残っていたので良かった。

ラスト、矢口が率いる解析チームの凍結作戦が成功し、ゴジラを抑え、人々はは安心を得て終了する。
が、ラストのカット、固まったゴジラのしっぽの先をよく見ると、人間の死体が固まったものが集まってできている。
意味深すぎる終わり方にネットで調べると、第5形態の始まり、と書かれていた。
映画内では、第3形態から第4形態になったゴジラが描かれていた。
研究者が、「形態は未知数」的なことも言っていたので、凍結させたゴジラは、第5形態になる寸前だった…!!
寸前、ではなく、これから第5形態になっていくらしい。
凍結される前のゴジラのしっぽの先は人の形をしていなかったから。
これから第5形態に入っていくのだろう、と。
詳しく第5形態を調べると、先っちょの人間たちが放射線を持って飛散していくらしい。
これからも恐怖が続くことを残して終わるところが怖かったな。

とても面白かったです。
長かったけど、長さを感じなかった。

1つ疑問に思ったのが、ゴジラの破壊シーンをあれだけ派手にやっていて、その後ゴジラの周りそこまで街が壊されていなかったのが、なんで?って思った。
もっと焼け野原になっているかと。
ちょい矛盾。

バケモノの子

両親が離婚し、引き取られた母が死んで、一人残された9歳の少年連。
親せきのところへ行くのが嫌で渋谷をさまよっていたら、バケモノたちの住む世界へ迷い込んでしまい…!!

【ネタバレ】

とてもよかった…!!
おおかみこどもの雨と雪」のような、ファンタジーの設定に置かれながらも、主人公は一人の人間としてリアルに悩み、動いている。
バケモノたちの住む異世界で、肉体的に強くなりつつ、8年がたつ。
8年異世界にいるっていうのもすごい。
連は、このまま異世界で暮らすのか人間界で暮らすのか悩む。
なぜかというと、8年ぶりに渋谷に戻り、離婚して何年もたっていない父親と再会したから…!!
楓という女子と知り合って勉強に興味が出て大学受験というみちも候補の一つに入ったから…!!

私は、この映画は完全に子ども向けだと思っていたので、異世界に迷い込んだ主人公が、異世界での問題を、異世界で解決して、それで終わる映画だと思っていた。
でもそうじゃない。
連の、「これからどう生きていくか」という人間としての悩みがとても丁寧に描かれていた。
だから、面白かった。 
 「おおかみこどもの雨と雪」みたいな。
雨も雪も、それぞれオオカミの血を与えられて生きて、生き方に悩み、さいご決断する。

この映画、それぞれのキャラクターの視点も良かったな。

連の親代わりになる熊徹というバケモノ、不器用だけど、連を愛している。
熊徹のライバル猪王山は、人間界で拾った人間の子ども一郎彦を自分なりに愛情をかけ育てる。
自分が人間だと知らずバケモノの世界で育った一郎彦は、自分は何者かと悩み、人知れず心の闇を抱える。

みんな自分なりに正しいと思いながら、それぞれ生きていた。
せつない。


ルドルフとノラねこブッチー

前の飼い主である金物屋の引っ越し先が茨木県だから、行くと決意した、野良猫ブッチー。
ルドルフとイッパイアッテナも協力し、金物屋が茨木県のどこに住んでいるか調べるが…!!



8年ぶりくらいのルドルフシリーズの新作。
タートルという新キャラが出てきたからまだ続くと期待していいのかな。

猫の世界もいろいろ気遣ってて偉いな。
仲がいいのに、礼儀や距離感をしっかりしている。
ルドルフとデビルがブッチーの飼い主を目撃して、ルドルフは、それをブッチーに言うか言わないか、悩んでいた。
私なら迷わず言ってしまいそうな気がする…。
実際そうなった場合、悩むのかな。

あと、ブッチーが、

「ルドとだったら、ぎりぎり、一緒に行くってことでいけるけど、タイガーと一緒だったら、完全に、連れて行ってもらうってことになるだろ。それじゃあ、ちょっとな。」

と言っていて、イッパイアッテナ同様、なるほどと思った。
してもらう側だから気がひけるって感じなんやろう。

ブッチーは1巻目では野蛮だったけど、だんだんルドルフを見てか、学にも興味を示してるように思う。
いくら茨木に行くためとはいえ、ルドルフの勉強熱心さがなかったら、「字を習いたい。」とは思わなかったはず。
巻を重ねてみんな変化しあっているのが面白い。

あと、ルドルフはほかの猫と比べて品があるのは、やっぱり前の飼い主リエちゃんに品があったからなのかとも思った。
イッパイアッテナもブッチーも、いかにも下町という話し方と考え方。
…やっぱり野蛮さは変わってないかな。
情には厚いけど。



四畳半タイムマシンブルース

京大3回生の文学青年「私」は、明石さんに片思いしつつ小津や樋口さんたちと汚い夏を送っている。
ある日タイムマシンが目の前に現れ、クーラーを使うためにリモコンが壊れる前の昨日へ取りに行く…!

【ネタバレ】

約15年ぶりに「四畳半神話大系」の続編!
続編と言っていいのかな。
四畳半神話大系」は並行の世界が4編あったから。
今回も「四畳半神話大系」と同じ3回生の話だから、時系列的には前作と並行してそう。
明石さんとはまだ両思いになってなくて、今回は鉄道関係の部活に入っていた模様。
本当に森見登美彦さんの考える部活は独特だ…!
妄想系が好きなんやろうなぁ。
そういうセンスがとても好き。

樋口さんが過去の樋口さんと握手交わすところと、城ヶ崎がかっぱ伝説になってるところ笑った!
アホすぎる!
「私」を困らせるために何でもできる小津もいいなぁ。
生産性がなくてアホなことばっかりだけど、アホな思い出って大人になってなかなかできないから羨ましい。
楽しそう。
樋口さんが25年後も下鴨幽水荘にいてるっていうのも笑える。
羽貫さんとは破局したのかな。
樋口さんはどんな状態でも人生を楽しんでそうだ。
でももしあの人が本当に天狗なんだったら、年齢とか関係なさそう。

また続き読みたい!

みちくさ

モデルで女優の菊池亜希子さんが、東京の街をぶらりと散歩し、絵と文章でその様子を記す。
PSというファッション雑誌に連載されていたエッセイ集。



とてもかわいい!
かわいいが詰まった本!
ファッションも絵も菊池亜希子節のかわいさなので、10年前の本だけど時代をあまり感じなかった。
渋谷も原宿も都会都会してるイメージだけど、菊池亜希子さんにかかれば、のんびり散歩できるレトロおしゃれな街だった。
小さなお店を慈しめる感性いいな。

あとがきに、「キョロキョロしながら歩いていくのが私にあっている」ということをおっしゃっていて、その文章も素敵だった。
前ばかり見て誰かと比べる必要がないというか。
読んでて自分のペースになれる本。

恋文の技術

石川県能登の研究所に飛ばされた

京都の大学生の守田は、研究の傍ら、

文通武者修行、として、

京都に残っている友人や先輩や妹たちと、

文通をすることに…!!

マジで笑った。

手紙の語り手の主人公は

めちゃくちゃあほってわけじゃなさそうやのに、

「おっぱい事件」起きた時の、

なんでそうなるん!?ってところが

ほんまに面白かった。

学力がないあほ、とかではなくて、

発想力の無駄使いというか。

やっぱり森見さんのキャラクターは

それぞれ意思を持っているというか、

気持ちが流れるようにっていうか。

とにかく、終盤でタイトルの、

「恋文の技術」に納得するし、

心温まるお話やった。

こんな笑いと温かさを、

手紙の文面だけで伝えてるんやからすごい。

私も文通したくなったな。

【ネタバレ・考察】

今回は、「森見登美彦」という

作者本人がキャラクターとして出てきた。

主人公の守田君から、

大学のクラブのOBの先輩、

森見さんへの、8月22日の手紙。

「新作の御原稿拝受しました。

 早速拝読し、怒り心頭に発しました。

 俺が手紙に書いたあれこれを

 姑息に盗み取り、

 しかも事前に何の断りもない。

 像の尻も、だるまのリンゴも、

 パンツを脱がないパンツ番長も、

 錦鯉を背負った人も、

 全部俺が手紙に書いたことだ。

 表題に『御都合主義者』まで盗んで

 平然としているのだから恐れ入ります。」

これに出てくるワード、全部、

夜は短し歩けよ乙女」…。

めっちゃ笑える。

そのあとの10月5日の、

守田君から森見さんへの手紙には、

「何はともあれ、『夜は短し歩けよ乙女

 完結、おめでとうございます。」

ってやっぱり、

夜は短し歩けよ乙女」やったんや。

そんで結局完成したんや。

6月21日には守田君から森見さんへ、

「縦横無尽に移動する『韋駄天コタツ』」

のことも話しているので、

それもパクられてるな…。

ほんま物語内の仕掛けが面白い。

でも守田君は、ある金曜日の夜、

能登和倉温泉で、

京都から遊びに来た金曜倶楽部

(「有頂天家族」内の組織)の面々と

飲みあっている…!!

世界観どうなってるんや!!

『加賀屋』という高級旅館に

連れて行ってくれた美女、って弁天のことやろ。

金曜倶楽部は京都を出て

能登半島まで遊びに来るねんな。

そしてさらに守田君は、

「四畳半王国見聞録」に登場する、

マンドリン弾きの丹波先輩と知り合いらしい。

その人が何の変哲もないコタツを、

『韋駄天コタツ』と命名し、

縦横無尽に下宿内を移動していた、と。

なんだか今回の話もいろんな世界と

つながってて面白かったな。

樋口師匠もまたそろそろ

顔出してくれてもいいのになー。

【再読】

とても良かった!

主人公守田はへなちょこだけど愛されているな!

現在進行中の片思いと実験、これからの就職活動にもんもんと悩んでる姿がリアルで愛おしい。

何故愛おしいと思えるのかは、森見登美彦氏に宛てて書いた文体からだと思う。

片思いも実験も就活もうまく行かなさ過ぎて、「「手紙代筆ベンチャー企業」を立ち上げる、いややめておいたほうがいいか」と悩むところとか、アホで愛おしい。

頑張ってるんやなと。

この本にキャラクターとして出てきた、森見登美彦氏は、作者だからと浮くこともなく、小説家の一人として自然と出てきた。

守田視点で森見登美彦氏のいい部分も悪い部分も書いているから自然なんやろうなぁ。

読後感も良かった。

森見登美彦さんのアホ系な小説は物語中いつもすっごいゴタゴタが巻き起こるけど、物語の締めはとてつもなく良い。

人とのつながりを感じられて暖かくなる。

ハイキュー TO THE TOP 8~最終話

いよいよ全国大会に向けて東京へ向かう烏野高校。
第一回戦、烏野の選手たちは高い天井と明るい照明に目が慣れず、充分な力を発揮できずにいる…!!



西谷のレシーブが本当に好きでだ。
OPの回転レシーブがかっこよすぎる。
へたくそな私はレシーブしてるとき足の筋肉が持たな過ぎて回転レシーブすることはよくあったけど、西谷はちゃんと自分があげたボールを、回転レシーブした直後もきちんと目で追っていた。
次の動きにつなげるように。
さすがすぎる。
マジでかっこいい。

田中と西谷はなんでモテないのか意味わからん。
田中のスパイクも割と重めで好き。
かのかちゃんといい感じになるのかな。
2人の関係が可愛かった。

あと選手がスパイクを前衛に打つときみんな手首ひねらせてミートかけてるところがリアル。
うまい人って打ったら真下まで振り切ってるんだな。
打つ前に身体をそらして反動で打ってるところとかもリアル。
フォームも含めめちゃくちゃきれい。
試合ずっと見てられる。